【ネタバレあり】アスカの幸せだけを願っていた私のシン・エヴァ感想
※このnoteは昨日公開されたシン・エヴァンゲリオン劇場版のネタバレを含みます。というかネタバレしかしてないです。まだ本作を見ていない方はご自身の判断で読んでください。
まず前提として私はエヴァは好きだけどゴリゴリの考察勢ではないし、アニメリアタイ勢でもない、そんな中途半端なオタクです。深い考察とかは期待しないでください。ただアスカが好きで好きで彼女の幸せを20年間祈り続けてきた立場からこのnoteを書きます。
シン・エヴァは、エヴァに囚われ続けた関係者やファンたちがエヴァを卒業するために用意された、最高のストーリーだったと思う。難解さが醍醐味だとか、絶望的なストーリーが最高だとか言ってる古参ファンだけを見て作品を作るのではなく、誰一人見放さずに希望的な結末へ再編集されていて、圧倒的クオリティの大衆が楽しめるようなエンタメ作品として仕上がっていた。
ただ、私はアスカの幸せを願っていたものの立場として複雑な気持ちだった。
アスカの運命の相手は、本当にケンスケだったの?と。
ネットを検索すれば沢山の感想が出てくる。中でも多いのは「まさかのマリエンド」や「アスカファン死亡」である。私も当然困惑したし、アスカの相手にケンスケはふさわしくないと思った。
でもやっとその思いが消化できたので今これを書いている。
そして今なら、アスカの救済はケンスケにしかできなかった、と言える。
私は、アスカに世界で一番幸せになってほしかった。欲しいものは何でも手に入ってほしかったし、望んだことはなんでも叶ってほしかった。
だから、アスカが好きになった人と結ばれてほしかったし、好きな人を諦めて言い寄ってくる相手の中から妥協して相手を選ぶなんてことは絶対にしてほしくなかった。(加持さんはあくまで彼女が渇望していた父性を感じさせる相手だっただけで、本当に恋した相手はシンジだったと私はいずれのシリーズからも解釈していたので、なにがなんでもシンジと結ばれてほしかった。)
エヴァパイロットとしてシンクロ率が下がろうが結果を出せなかろうが、自分にとって特別な相手の特別になれれば、それはアスカの存在意義足り得る。そう思っていたし、エヴァなんてなくてもアスカは価値のある存在だと他の誰でもないシンジに証明してほしかった。
でも。たぶんシンジではだめだった。
彼女の生い立ちは壮絶だ。TVアニメ版、漫画版、新劇場版でそれぞれ設定は微妙に異なるが、いずれにせよ幼い頃に当然享受できたはずの親からの無償の愛を受けられなかったという点では共通している。だからこそ、エヴァパイロットとして結果を出すことに人生を懸けて取り組んできたのだ。本人も「自分にはエヴァに乗るしかない」「エヴァに乗ることでしか自分の価値を証明できない」と思い込んでいる。でも本来親の愛とは、そんな結果を出さねば享受できないものではない。愛とはトレードオフではないはずだ。そこに彼女の空虚さがある。愛されたい苦しみは、そこから生まれている。アスカにとって、愛されることとエヴァパイロットとしての優秀さが切り離せなくなってしまっているのだ。
だからこそ、シンジではだめで、レイでもだめで、ミサトでもだめで、加持さんでもだめなのである。エヴァに全く関係ない一般人から、エヴァパイロットとしての評価が介在しない相手から、ありのままの自分を受け入れられることこそが必要なのだ。アスカ自身の人となりを知り、良いところも悪いところも含めて存分に理解した上で、長きに渡り「君は君のままで価値のある存在なのだ」と諭し続けられる相手が。
アスカとケンスケの間にあるものが恋なのかはわからない。ただ、そこには確かに愛が存在する。愛を知らない、愛に飢えたアスカがやっと愛を知れた。その事実だけで、この作品を見れて良かったと思える。愛を知ったアスカが今後どうなるかわからない。ケンスケと恋人になるかも知れないし、やはり恋人としての愛ではなく親子の愛のようなもので、別の相手と結ばれるのかも知れない。
ちなみに私は本作のエンディングを「シンジ×マリ」「ケンスケ×アスカ」「カヲル×レイ」エンドだとは全く思っていない。
ケンスケとアスカについては上述のとおりだ。恋人になるかどうかはまだわからない。
カヲルとレイはヒトならざるものとして生きてきて、境遇が似ている者同士だ。エヴァなき世の中での生き方を模索する、助け合う兄妹のような立ち位置だと思う。
また、シンジとマリは世界の改変を客観的に観測していた者同士として、理解者として、これからの未来を生きていく描写がなされていただけだと思っている。他者を怖がり拒絶していたシンジが、軽口を言い合いからかいに動じなくなった、そんな成長を見せるためのシーンだったと理解している。
…往生際が悪い?
しょうがないじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!こっちは20年もシンジとアスカを応援してきたんですよ!?!?!?
庵野監督も最後の解釈を視聴者に任せるために決定的な描写は避けたんだと思うし、都合の良い解釈をさせてもらうし暫くはこの解釈で生きていきます…。
いやーでも本当に終わっちゃったね。
正直、庵野監督はアスカになんか恨みがあるのではないかと疑っていたので、こんなにしっかりアスカの心の傷と真の救済について向き合ってくれるとは思ってなかった。シンジと結ばれてほしいのはアスカファンのエゴで、真にアスカの幸福を願うんならケンスケしかいないって今なら思います。
…まぁ14年もシンジが失踪しなければシンジがアスカを救済出来た可能性もあったと思うけどね!!!!!!!!!!!!!!
また別の世界線では違う結末があることを祈りつつ、とにかくこの作品に関わった皆様お疲れさまでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?