不妊治療、負担はお金だけじゃない
不妊治療を始めた女性の17%、つまり約6人に1人が離職していることが順天堂大学などの調査で明らかになりました。治療で突発的に通院する必要があることや、職場の理解不足が要因として考えられるといいいます。しかも非正規社員の離職率は正社員の2倍以上になります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG182L50Y1A110C2000000
少子化対策の切り札として昨年、菅政権が打ち出したのが不妊治療の保険適用。来年4月にも実施するとみられています。経済的な負担が軽くなることで取り組む人は増えるかもしれません。ただ治療が始まると負担は女性側にのしかかり、キャリアにも大きく影響してきます。
ただ、実は不妊の原因の半分は男性にあるのです。
世界保健機関(WHO)の2017年の報告によると、不妊カップルのうち男性に原因があるのは24%。男女両方にあるのは24%で、合計すると約半分で男性に原因があるとされている。
1年前に掲載した記事(どなたでもお読みいただけます)では、4年間に及ぶ不妊治療の経験を男性に話していただきました。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54446900W0A110C2000000
とりわけ気がかりだったのが、自分に原因があるのに、治療の負担が妻の身体にかかることだ。体外受精で男性側は通院や指定された日時に精子を提出する。治療は上司に伝えず、有給休暇を月1回取った。一方で女性側はタイミングを計るためホルモン投与や内診をこまめに受ける必要がある。仕事を持つ妻が不規則な休みを間際に申請するのは容易ではない。妻は治療途中で仕事を辞めた。
不妊治療によって生まれる子供は年間5万7000人。ほぼ同じ数の女性がなにかしら治療の苦しみを経験していることになります。休暇制度などはもちろんですが、周囲の理解や身近な人の協力が大切です。そして何より、治療は本人たちの意思によるもの。産みたいとおもったカップルが安心して産めるような環境づくりが欠かせません。