真偽不明のミステリアスな白日
”Sister With Voices”こと90年代のブラックミュージックシーンの垣根を超えて、当時の音楽シーンを彩ったガールズグループであるSWVの元メンバーのCoko。
解散後初のソロシングル”Sunshine”の謎のホワイト盤を取り上げてみましょう。
SWVの解散後の99年にソロデビューし同年に”Hot Coko”というアルバムをリリースすることになるのですが、その際リードシングルとして放たれた”Sunshine”
プロデュースが”Darkchild”ことRodney Jerkinsという布陣でタイトル通り、太陽の光を感じるような明るくチルい曲調で内容はCokoとDigable Planetsのメンバー、Butterflyとの間に生まれた息子Jazz君へのあふれんばかりの愛を伸びやかに歌った曲ですね。
（発音が一緒の”sun”と”son”を掛けたのだろか？）
余談ですが最近このJazz君、現行シーンで活躍するLil Tracyというラッパーだった事を知って大変驚きました。
さて今回取り上げる謎のホワイト盤についてですが注目されたキッカケがフランスのR&B12インチコレクターであるMrWide SelectioNという方ががこの盤の音源をYoutubeにアップし注目が集まった。という事らしい。
そしてこの盤のプレスに関して色々と説があります。
①所属していたレーベルRCAのオフィシャルテストプレスでミックスショーを放映しているラジオ局のDJ達へプロモーション用に配布した盤という説。
②普通にレーベルの預かり知らぬ所で勝手に作られたありがちなブート説。
しかもそれっぽいプレスシートをわざわざ付ける事でオフィシャルプレス感を演出したんじゃないか？という話があります。
上記の真偽が未だにどっち付かずの為にレコ屋で万越えの高値が付いているかと思えば、1000～2000円代。はたまた4・5000円代で売られていたりと市場価格自体もハッキリしない1枚です。
（ちなみに自分は1100円くらいで買いました。）
ただ「Remixes」と銘打ってますが中身は全曲Sunshineのアカペラに他のアーティストのビートをただそのまま乗っけた、何の捻りも無いブレンドとなります…。
使われたビート達は下記のとおり。
A1: R. Kelly /Did You Ever Think
A2: Ja Rule/Holla Holla
A3: Dr. Dre/Nothin But A G Thang
B1: Vicious/Freaks
B2: Notorious B.I.G/Warning
※ 12インチの収録順に使われたビートを記載しております。
という事でMrWide SelectioNがアップし注目のキッカケとなったB2のWarningを乗っけたのがコチラ
このWarningを使ったヤツはまだマシな方ですが、他の曲全てが声とビートがハマってなくて、個人的にはウーン･･･って感じでして、わざわざプレスする程の出来か？っていうのが正直な感想です。
変わり種として考えたら面白いけど、作品としてはイマイチってのが何とも言い難し･･･
MrWide SelectioNもこのテイクのみで他のテイクをアップしていないあたり、やっぱり彼的にも他のテイクはあんまりだったのかな？
ただ不可解な点としてデッドワックス部分にちゃんとプレス会社を通してマスタリングしたとして刻印があったりするのが更にその不可解さを加速させます。
そしてもう一つ不思議な点はコレと同じ内容の盤がもう1枚存在しているのです。
今回取り上げている盤になりますが品番が「IMC-1007(と刻印)」でプレスシートがついているのがオリジナル？とされており
当該の一枚は同じ白のブランクラベルだけどプレスシート無しで品番が「BMG COCO BEATS」とあるのがコピー？となるようです。
「BMG」と入っていることからあの音楽・映像会社のBMG Musicの事かとも勘繰れますね…。
しかし、この後者はレコ屋はもちろん、ネットショップやオークション等でも見たことすらない無く、今回色々と調べて初めてその存在を知りました。
（実は後者が本当のBMGが刷ったテストプレスだったりして…）
ただ、この盤がブートならばプレス会社を通してわざわざマスタリングまでしたりするか？って話ですし、作品のクオリティがレーベルから出すレベルとは思えない等々、色んな事象が複雑に絡んでる未解決事件のように未だに真相が謎すぎる盤でした。
詳細知ってる方が居れば教えて頂きたいです。
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そして蛇足。
2001年頃に2枚目である"Music Doll"が出る予定だったようですが結局お蔵入りに。
近年、収録曲と思しき楽曲達がほぼ流出しております。
特に良かったのは"My Girls"という曲がメチャクチャ刺さりました。