Hey Mr. D.J., Request Line Is On ?
もはや説明不用かと思いますが90年代のR&Bを語る上で外せないデュオ1組と言えばZhaneのというのはもはや定説ですね?
更に「彼女達の代表曲と言えば?」という質問にはデビュー作の"Hey Mr. D.J."を挙げる率は100%通り越して5000%位には達するかと思います。
個人的にもレコード買い始めて間もない頃、右も左も上も下も解らないままジャケ買いして大当たりだった思い出のある一曲です。
元々、子供の頃から聖歌隊やピアノ、時には自身でも作曲をしたりと音楽と密な環境にいたReneeとJeanの2人。
大学で出会いそのまま意気投合し、素人参加型のタレントショーとかで優勝したりして、通っていた大学のあるフィラデルフィアでは既に名は知れた存在だったようです。
とあるA&R(音楽業界で新人発掘とかする人)の目に留まりAnita Ward/Ring My Bell使いのDJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince /Ring My Bellにコーラスで参加したのが2人の音楽業界でのキャリアの始まりとされており、それをキッカケに当時、薬物関係で荒れていた45 King(R.I.P)から引き継いだQueen Latifah率いる新生Flavor Unitに参加。
そこでNaughty By Natuteらと知り合い、以後はメンバーのKay Geeがプロデューサーとして彼女らに関わっていくようになりFlavor Unitのコンピレーションを製作した際にこの”Hey Mr. D.J.”は生まれました。
シングルカット後、全米シングルチャート最高6位という特大ヒットを記録したのにも関わらず、なんと当時の彼女達はレーベルと未契約のフリー状態であり、まとまった作品を作るにあたり契約合戦の末にMotownとのディールに漕ぎつけた一曲でもあります。
元々メロディアスで良い意味でポップなトラックが多いKay Geeも彼女達のプロデュースをキッカケに自信が付いたのか以降は徐々に歌の仕事に回っていった印象があります。
個人的にはUSプレスで出たシングルをほぼ集めたくらいに好きなアーティストで残したアルバム自体は2枚と少ないですが様々なシングルやそれに付随したRemix達の量を見るに2枚とも内容が良さやその濃さが垣間見えます。
そんな彼女らのレコードの中でも恐らく1,2を争うくらいにレアなのがこのRequest Lineのピクチャーヴァイナルになると思います。
プレスされた経緯として惜しくも最後のアルバムとなってしまった2nd”Saturday Night”からのリードシングルとしてリリースを記念してプレスされたとされている盤です。
眉唾物な話ですがとあるレコ屋さん曰く、イベントで配布されたノベルティー品らしくトータルで800枚くらいしか擦られてないとかっていう話だそうです。
(う~む・・・。本当だろうか・・・?)
それでこの盤の凄いトコは絶対数のレアリティーだけではありません。
実はこの盤、Grover Washington Jr/Knuckleheadをサンプリングした"Hey Mr. D.J.(Remix)"(Remixed By QDIII)がオフィシャルで初めて収録された唯一の12インチなります。
94年発の1stである"Pronounced Jah-Nay"にアルバムのみの曲としてこのRemixは収録されてはいたものの(LPは音圧が地獄級の低さ)カット自体は当時には無く
自分が知る限り、前まで日本企画の再発盤や一部のブートにちょこちょこ収録されている音源という立ち位置だったのでちゃんとオフィシャルプレスがあったのが結構衝撃的でした。
音についてですがMichael Wycoff/Looking Up to Youをサンプリングしたしっとりとしたオリジナルから一転。
原曲のベース剥き出しのゴリゴリとしたファンクネスなトラックにサビでオシャレに絡みつくリフと歌声がマッチしたオリジナルとはまた違う感じで体が動く一曲でさながら陰と陽のような作風だが良さはどちらも引けを取らないですね。
そして余談。
個人的にこのブートが使い勝手が良くてですね。
ピクチャーヴァイナル同様にオリジナルとRemixの2曲が入っていて、わざわざピクチャーヴァイナルを引っ張り出さずに済む点に加え、いずれも溝の幅がめちゃくちゃ広いので2曲共、出音のブッ太さたるや実はオフィシャルプレスよりも良かったりします。
93年に出た何故か45回転仕様のオリジナルプロモのみに収録されてた”D.J. apella”(アカペラ)も収録されていたりと中々に解っている収録内容も評価高し。