パキスタン・シンド州の特産品
パキスタン最南端にあるシンド州は豊かな歴史や文化だけでなく、その伝統と職人技から生まれる手工芸品が有名です。また、シンド州はその温暖な気候と環境により農業がさかんで、サトウキビ、マンゴー、ナツメヤシ、バナナなどが生産されています。この記事では、伝統的な手工芸品から農産物に至るまでシンド州の特産品をいくつか掘り下げてみます。
シンディ・トピ
シンド人の男性が被る帽子「トピ(Topi)」です。アジュラックと一緒に着用されることが多いこの帽子はシンド文化の重要な要素となっています。帽子は円筒形で、正面にアーチ型の切り込みが入っています。 帽子には鏡や宝石の小片が縫い込まれ、複雑な幾何学模様が刺繍されています。
アジュラック
アジュラック(Ajrak)はシンド州の伝統的な織物で、その鮮やかな色とデザインで知られています。アジュラックは通常、ブロックプリントの技法で、幾何学模様や花柄のデザインが施されています。シンド社会では文化的に重要な意味を持っており、特別な行事や祭りの際によく着用されます。
シンド州の刺繍
シンド州の刺繍は、職人の創造性と伝統技術を示す工芸品です。この刺繍にはカラフルな糸、鏡、ビーズを使用した手の込んだステッチと装飾が使われてます。特に「ラリー・キルト」は、その極めた職人技が高く評価されています。
マンゴー
シンド州はマンゴーの生産地で、特にシンドリ種とチャウンサ種で有名です。これらのマンゴーは、甘くてジューシーな果肉と香りが特徴的です。シンド州の温暖な気候と肥沃な土壌はマンゴー栽培に適しており、マンゴーはこの州を代表する農産物のひとつとなっています。通常5月から9月までのマンゴーの季節には、全国からマンゴー愛好家が集まります。
デーツ
シンド州はデーツの生産地でもあり、特にハイルプール地区(Khairpur)のデーツは高品質で有名です。シンド州の暑くて乾燥した気候はデーツ栽培に適しています。シンド州のデーツは地元で消費されるだけでなく、さまざまな国に輸出され、この地域の経済に大きく貢献しています。
青い陶器
青と白のデザインが特徴的な「ハラ(Hala)」と呼ばれる青い陶器は、シンド州で何世紀にもわたって伝わる伝統工芸です。ボウルや皿から花瓶やタイルに至るまで、青い陶器「ハラ」はとても美しく、シンド州の豊かな文化と職人技を表しています。
手作りの革靴
シンド州の伝統的な手作りの革靴(Jutti)は、シンド州だけでなくパキスタン全土で人気があり、その快適さ、耐久性、そして独特のデザインで知られています。 高品質の革と複雑な刺繍が施された革靴は、シンド州の職人技と伝統工芸の証です。
シンド州にはさまざまな分野で熟練した職人がいます。世代を超えて受け継がれてきた、帽子、アジュラック、キルトなどの手織り織物、陶器、釉薬タイル、漆工芸、革製品などの工芸品があります。何世紀にもわたって進化してきたシンド職人の工芸品は、遠い昔、アルメニアの古代市場でも販売されていたとも言われています。