マラリア撲滅に中国伝統医薬が関連
世界保健機関(WHO)は中国をマラリア撲滅国と認定した。中国国家科学技術委員会は1967年抗マラリア薬の開発のために500人以上の研究チームを発足させヨモギ属の植物であるカワラニンジンについて「搾り汁を飲ませることでマラリアを治療できる」との記述が東晋時代の葛洪が著した「肘後備急方」にあることから研究を開始。カワラニンジンからの抽出物の結晶化に成功し、アルテミシニンと命名された。患者18人に対して臨床試験を行った結果、アルテミシニンの抗マラリアの効力が完全に証明された。1976年にはカンボジアでマラリアの感染拡大が発生したことを受け、中国は予防治療チームを派遣しアルテミシニンを投与し、多くの人を救った。
アルテミシニン耐性をもったマラリアも
アフリカではマラリアの流行度が高く、そこに住む人たちは高頻度の感染によってマラリアへの強い免疫を獲得しているものの、アフリカにおいて原虫レベルでのアルテミシニン耐性を持ったマラリア原虫がウガンダ共和国に出現している。東南アジアの一部(大メコン圏)にも出現している。
今後の世界はマラリアが流行する
今後世界は熱帯化すると言われており、これに伴いデング熱やマラリアが大流行する可能性を専門家は示唆している。現在マラリアが流行しているのはアフリカ、南アジア、中東、南米あたりなのだが、将来的には日本もマラリアが流行する可能性が示唆されている。WHOはすでにこの流れを察しており、マラリアワクチンの接種を推奨している。
マラリアの病原体
マラリアの病原体は寄生虫(原虫)で、ヒトに感染するマラリア原虫は熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形の四種類があり、そのなかでも熱帯熱マラリアは診断・治療が遅れた場合に死に至ることがある。蚊に吸血されてから発症までの潜伏期間は通常2-3週間。一般的には悪寒戦慄を伴う高熱で発症するため気付きやすい。治療開始が遅れた場合は、多臓器の障害が起こり、命を落とすこともある。しかし現在、抗マラリア薬がすでに開発されており、治療することは可能である。