若返りと不老の実現が迫る
近年の目まぐるしい医療技術の発達によって、難病治療薬や老化治療薬の開発がどんどん進んでいる。知らない人もいるのかもしれないが、モルモットやマウスのような小型哺乳類のレベルではすでに不老、若返り、寿命を延ばすといったことがすでに実現できているレベルである。すでにヒトでの臨床試験は始まっていて、早ければ数年後、人間もそうなる可能性があるのだ。すでにNMN、ISRIB、GLS1阻害剤などの開発が進み、非臨床ではすでに有効性まで実証済み。恐らく日本かアメリカからこのような不老や若返りの薬が実用化される可能性が高い。また、非公開で情報が皆無ではあるものの、Googleがカリフォルニアに1500億円を投じて不老研究施設を5年前に設立している。アメリカ製薬会社アッヴィと共同で研究を続けている。
糖尿病の薬
新薬以上に期待値の高い薬があるのだ。それはメトホルミン。50年以上前に実用化され、世の中に出ている薬だが、老化を止める作用があることがすでに判明している。メトホルミンは1950年代から糖尿病の治療に使われており、60年以上の使用実績のある薬。1錠250mgの薬価は10円未満とかなり安価。米国立老化研究所の研究では、メトホルミンを投与したマウスはそうでないマウスに比べ、寿命が5%延びることが明らかになっている。英国で行われた大規模研究「UKPDS」では、メトホルミンは他の治療薬と比べ、2型糖尿病患者の動脈硬化を抑制し、心血管疾患の発症リスクを減少させることができた。さらに約7万8,000人の糖尿病患者と約7万8,000人の糖尿病ではない人を対象とした大規模研究では、メトホルミンによる治療を受けている糖尿病患者は長生きすることが示された。メトホルミンにがん予防の効果があることも判明している。老年病を抑えられるうえに、老化を抑えられるというのだ。このことに目をつけたアメリカの資本家は多額の資金を投入し、不老研究を行わせている。
不老 = 不死ではない
不老というのは老化をしない、若返るというだけに過ぎない。そのため、ヒトの限界寿命である125歳を超えて生きていくことは難しいと言われている。理由はヒトの細胞分裂が止まってしまうからだ。細胞分裂を続けるためには染色体の末端にある、テロメアを延ばす必要がある。このテロメアが短くなると、細胞分裂は止まってしまうのだ。不老や若返りとは違うアプローチでの研究が必要だ。ただし、1つの例しかないがテロメアを延ばす実験はイスラエルで去年成功している。実用化にはもう少し時間が必要か。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?