欅坂オタクの恋人が教えてくれたこと
数年ぶりにできた彼氏は、アイドルオタクだった。
そのアイドルとは欅坂46。
もはや彼女たちのことを”アイドル”の一言で括ってしまっていいのかすら正直分からない。(すっかり洗脳済み)
そもそもわたしはこれまでアイドルやタレント、アニメ等に特別長期的に”熱中”したことはあまりない。
それなりに”好き”にはなるが、”推し”に膨大な時間とお金を惜しみなく使って日々活動している周りの友人をこれまでも何人も見てきたわたしは、その熱意に尊敬の念があるため、わたしのレベルで”ファン”と名乗るのは申し訳ないな と感じてしまう。
そんな中、声を大にして言えるレベルで普段から”推し”に全力で尽くしている彼と出会った。
今思い返すと、初めてあったとき友達越しに
「てち(欅坂メンバー平手さん)に似てる 。」とボソッと彼がつぶやいた。
もうこの時点で彼の欅坂への愛に気づいてあげられていたら、もっと早い段階でわたしも彼の熱量を理解できたかもしれないな、と今は考える。
彼の一言は、芸能人に疎いわたしでも注目していた方だったので、単純に顔もとっても可愛らしいあの平手ちゃんに似てるって言ってくれるなんて...(実際は全く似てないが笑)素直に褒め言葉として最高に嬉しかった。
更に彼は顔を赤らめて「もっと話したい」と言ってくれた。
純粋で素直な彼にまんまとキューンとした。(ちょろいな、わたし)
世界には愛しかない(信じるのはそれだけだ)
今すぐ僕は君を探しに行こう
誰に反対されても(心の向きは変えられない)
それが僕のアイデンティティー (出典:「世界には愛しかない」)
と、秋元さんも言ってるし、
そんなこんなでお付き合いすることになった。(適当)
彼は欅オタクということをすぐに教えてくれたので、わたしもどれほどのものなのか少しドキドキしていた。
とりあえず彼が教えてくれたこと、経験させてくれたことをまとめてみる。
・カラオケに行くと、ひたすら欅坂の曲を振付やコール付きで歌ってくれた。
もしかして、、メンバーなの、、? と思うほど、歌もダンスも完璧だった。まさに完コピ。ちょっとこわい。けれど恋人フィルターで愛おしさに瞬時に変わった。恐怖と愛おしさは紙一重なんだなぁ。知らんけど。
・握手会のためにCDを30枚ほど購入。
これはよく聞く話だが、実際に聴くには1枚で良い。鑑賞用を入れてもせいぜい3枚で充分だろう。しかしファンとしてメルカリなどで転売する等の選択肢は無いらしく、「良い曲だから聴いて!」とわたしの分とわたしの妹の分、友達の分と計4枚も無償でくれた。
他もCDも職場の上司から「娘が欅坂が好きらしい」と聞くと喜んで「娘さんに」って渡したらしい。ドヤ顔が目に浮かぶ。
関係者でも何でもないのに、メンバーにも秋元さんにも知られないところでこんなにも一生懸命広告活動をしているなんて。当時広告代理店で働いていたわたしより、ずっと良い仕事っぷりだった。
実際にわたし自身も彼のおかげで欅坂46の曲を聴くようになったわけだし、そこまで夢中にさせる欅坂46のみなさんは勿論凄いし、彼はやっぱりファンの鏡。
・悩みを相談したら、全て欅坂46の活動や歌詞に照らし合わせてアドバイスをくれる。(?)
当時仕事で体調を崩す程悩んでいたわたしは、安心できる人が視界に入るだけで涙が溢れてしまうような状態だった。彼の存在も勿論貴重な"安心感を与えてくれる人”のひとりだった。
「わたし社会に適応できてないかも。楽しくないことも”仕事と割り切らないと”と言われても、どうしてももやもやする。だからと言って”これがしたい!”と思えることはなくて。わたしが変わってるのかな。この悪循環な考えでぐるぐるしてる。」
そう言うと彼は諭すように欅坂について語ってくれる。
「欅の『エキセントリック』でも言ってるよ。」
「 ((?)) 」
「歌詞でこう言ってる。
I am eccentric 変わり者でいい
理解されないほうが よっぽど楽だと思ったんだ
他人(ひと)の目 気にしない 愛なんて縁を切る
はみ出してしまおう 自由なんてそんなもの (出典:「エキセントリック」)
だから、自分も変わり者だと思ってるけれど、それで良いと思ってる。」
アドバイスの一単語目で”欅”が出てくるのほんと凄い。でも全く的外れなことを言い出すわけではなく、上手く”欅”と絡めてくる。もはや土田さんや澤部さんのような距離感で話してくる。(欅坂の番組MCでおなじみ)
他にもわたしが、
「上司が勘違いや自分の過去の発言を忘れているせいで、一日中理不尽に怒鳴りつけられてつらい。」と言うと、
「欅が”サイマジョ”の歌詞で、
君は君らしく生きて行く自由があるんだ
大人たちに支配されるな (出典:「サイレントマジョリティー」)
って言ってるから。そんな理不尽な人のせいでで傷つかなくていいよ。」
と励ましてくれた。
もう彼には
”欅坂の毎日励ましの言葉をくれる 日めくりカレンダー”
とかプロデュースしてほしい。アイドルのビジュアル目的ではなく、シンプルに言葉メインで。 いや、あれはもうしてる目をしてたな。
ちなみにさっきの「サイレントマジョリティー」の歌詞はこう続く。
初めから そうあきらめてしまったら
僕らは何のために生まれたのか?
夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
Yesでいいのか?
サイレントマジョリティー (出典:「サイレントマジョリティー」)
オタクの彼と付き合うことは想像を超えてくる出来事が多すぎて、困惑することもあったが、当時仕事のこと家族のことでいっぱいいっぱいだったわたしに、こんな素敵なアーティストを教えてくれたこと、今ではとても感謝している。
ちなみにわたしのお気に入りは「黒い羊」。初めてMVを拝見したとき感動で鳥肌が立った。曲、歌詞、平手さんの”アイドル”という枠組みではもう収まることのできない表現力に、何より魅了された。