硬さが腸管幹細胞の幹細胞性を制限し、ゴブレット細胞への分化を歪める
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原著論文フルレポート:小腸|164巻7号|p1137-1151.e15|2023年6月号
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硬さが腸管幹細胞の幹細胞性を制限し、ゴブレット細胞への分化を歪める
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(23)00215-9/fulltext?utm_medium=Social&utm_campaign=AGA-posts&utm_source=twitter
何 世傑
ペン・レイ
姜文英
エメル・H・ユルマズ
ジェフリー・J・フレッドバーグ
ニマ・サイディ
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Published:March 03, 2023DOI:https://doi.org/10.1053/j.gastro.2023.02.030
PlumXメトリクス
背景と目的
線維化と組織の硬化は炎症性腸疾患(IBD)の特徴である。われわれは、硬さの増大がIBDにおける上皮細胞のホメオスタシスの調節不全に直接寄与しているという仮説を立てた。ここでは、組織の硬化が腸管幹細胞(ISC)の運命および機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
方法
我々は、硬さを調節できるハイドロゲルマトリックス上で増殖させた2.5次元腸オルガノイドからなる長期培養系を開発した。単一細胞RNA配列決定により、ISCおよびその分化した子孫細胞の硬さに制御された転写シグネチャーが得られた。YAPノックアウトマウスおよびYAP過剰発現マウスを用いてYAP発現を操作した。さらに、マウス大腸炎モデルおよびヒトIBDサンプルの大腸サンプルを分析し、硬さがin vivoでISCに及ぼす影響を評価した。
結果
硬さを増加させると、LGR5+ ISCsおよびKI-67+増殖細胞の集団が強力に減少することが示された。逆に、幹細胞マーカーであるオルファクトメジン-4を発現する細胞は、陰窩様コンパートメントで優勢となり、絨毛様領域に浸透した。同時に、硬化はISCに杯細胞への優先的分化を促した。メカニズム的には、硬化は細胞質YAPの発現を増加させ、オルファクトメジン-4+細胞の絨毛様領域への伸展を促進し、一方、YAPの核移行を誘導し、ISCの杯細胞への優先的分化を導いた。さらに、マウス大腸炎モデルやIBD患者の大腸サンプルを分析したところ、in vitroで観察されたものと同様の細胞や分子のリモデリングが認められた。
結論
これらの知見を総合すると、マトリックスの硬さがISCの幹細胞性と分化の軌跡を強力に制御していることが明らかになり、線維症による腸の硬化がIBDにおける上皮のリモデリングに直接的な役割を果たしているという仮説が支持される。
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キーワード
IBD
線維化
硬化
腸管オルガノイド
腸管幹細胞
本稿で使用した略語
2.5D (2. 5次元)、3次元(3次元)、AB(アルシアンブルー)、BM(基底膜)、CAC(大腸炎関連大腸腺癌)、CD(クローン病)、cyto-YAP(細胞質YAP)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DOX(ドキシサイクリン)、DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)、EECs(腸内分泌細胞)、 IBD(炎症性腸疾患)、IEGC(未熟腸細胞-小胞細胞)、ISC(腸管幹細胞)、KO(ノックアウト)、M(マイクロフォールド)、nuc-YAP(核YAP)、OE(過剰発現)、OLFM4(オルファクトメジン-4)、scRNAseq(単一細胞RNAシーケンス)、TA(トランジット増幅)、UC(潰瘍性大腸炎)、VP(バーテポルフィン)
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グーグル・スカラー
論文情報
出版履歴
オンライン公開 2023年03月03日
受理済み 2023年2月17日
受理:2023年2月17日 受理:2022年4月27日
脚注
利益相反 著者らは利益相反を公表していない。N.S.とS.H.は、本研究に基づいて出願された特許の発明者である。
資金提供 この研究は、米国国立衛生研究所(N.S.にはR01DK123219およびK01DK103947、J.J.F.にはR01HL148152およびU01CA202123)、Executive Committee on Research/Massachusetts General Hospital(N.S.には2019A002949)、Polsky Family Fund(N.S.にはPolsky Family Fund)からの資金援助を受けている。
データ入手可能性 マウスオルガノイドのsc-RNA-seq処理データは補足表に示す。すべての資料およびデータのリクエストは、検討のため対応する著者に提出されたい。
同定
DOI: https://doi.org/10.1053/j.gastro.2023.02.030
著作権
© 2023 AGA Institute.
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