シングルセルRNAシーケンスを用いた分娩期のヒト胎盤における母体-胎児クロストークの解読

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VOL. 16, NO. 729
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シングルセルRNAシーケンスを用いた分娩期のヒト胎盤における母体-胎児クロストークの解読

https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.adh8335

VALERIA GARCIA-FLORES HTTPS://ORCID.ORG/0000-0003-3243-1780, ROBERTO ROMERO HTTPS://ORCID.ORG/0000-0002-4448-5121 , [...], AND NARDHY GOMEZ-LOPEZ HTTPS://ORCID.ORG/0000-0002-3406-5262 +11著者著者情報&所属
科学トランスレーショナル医学
2024年1月10日号
16巻 729号
DOI: 10.1126/scitranslmed.adh8335

編集者サマリー
要旨
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編集者要約
自然分娩には、母体と胎児の細胞間の複雑なコミュニケーションが関与しているが、このクロストークに関する理解は限られている。今回、Garcia-Flores博士らは、分娩に伴う母体細胞と胎児細胞のシグナル伝達の変化をより深く理解するために、正期産時のヒト胎盤の単一細胞アトラスを作成し、細胞間相互作用解析を行った。シングルセルRNA-sequencing（RNA-seq）データをバルクRNA-seqデータセットと組み合わせることにより、彼らは、妊娠中および分娩中の母体血液において胎盤シグネチャーをモニターできること、また、正期産におけるシグナルが自然早産の場合にも存在することを示した。さらに、自然早産を経験した妊婦の血液中にもシグナルが存在したことから、自然早産の発症を予測する検査を開発できる可能性が示唆された。-メリッサ・L・ノートン
要旨
分娩は複雑な生理的過程であり、母体と胎児との間でうまく調整された対話が必要である。しかしながら、陣痛における母体と胎児のクロストークを促進する細胞レベルでの寄与やコミュニケーションについては、完全には解明されていない。ここでは、シングルセルRNAシーケンス（scRNA-seq）を、正期産期のヒト胎盤における母体と胎児のシグナル伝達を解読するために応用した。まず、ヒト胎盤のシングルセルアトラスが確立され、母体と胎児の細胞タイプが分娩中にトランスクリプトーム活性が変化することが示された。陣痛によって最も影響を受ける細胞タイプは、羊膜（CAM）の胎児間質細胞と母体十二指腸細胞、胎盤の母体骨髄細胞と胎児骨髄細胞であった。細胞間相互作用解析から、CAMと胎盤の細胞タイプが、コラーゲン、C-X-Cモチーフリガンド（CXCL）、腫瘍壊死因子（TNF）、ガレクチン、インターロイキン-6（IL-6）経路を含む、陣痛に駆動される母体と胎児のシグナル伝達に関与していることが示された。scRNA-seqデータを一般に公開されているバルクのトランスクリプトームデータと統合することで、胎盤由来のscRNA-seqシグネチャーを妊娠中および分娩中の母体循環でモニターできることが示された。さらに、比較解析により、正期産における胎盤由来のシグネチャーは、自然早産や出産におけるシグネチャーと同じであることが明らかになった。さらに、妊娠初期に、自然早産になる予定であり、無傷または分娩前に膜が破裂した女性の循環において、分娩に特異的な胎盤由来のシグネチャーが検出されることが示された。これらの知見を総合すると、ヒトの分娩における母体と胎児のクロストークに関する知見が得られ、胎盤由来のシングルセルシグネチャーが早産予測のための非侵襲的バイオマーカーの開発に役立つことが示唆された。
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参考文献および注釈
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