腸内細菌叢における窒素固定細菌：デスルホビブリオ・ジアゾトロフィカスの紹介
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腸内細菌叢における窒素固定細菌：デスルホビブリオ・ジアゾトロフィカスの紹介
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2023年9月22日
複雑な化学反応を起こす腸内細菌が新たに発見された。
硫酸還元細菌（SRB）であるデスルホビブリオ・ジアゾトロフィカスです。私たちは最近、この細菌が窒素も固定できることを発見しました。
健康における複雑な役割
硫酸還元菌は、深海ヴェント、海洋堆積物、廃水などの酸素欠乏環境に生息しているが、世界人口の約半数の口腔内や腸内細菌叢にも存在している。
これらの微生物は、腸内で硫酸還元を行い、副産物として硫化水素を産生する。
ここからが興味深いところだ： 硫化水素は私たちの健康に複雑な影響を与える。例えば、硫化水素はDNAを損傷することが知られており、慢性的な大腸障害や大腸の炎症との関連性が研究されている。SRBの代表的なグループであるデスルホビブリオ種の一部は、慢性歯周炎や潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患と関連している。
しかし、硫酸還元菌の役割は悪いことばかりではない。硫化水素はシグナル伝達分子として、あるいはミトコンドリアのエネルギー源として働くこともある。さらにSRBは、水素を効率的に利用し、発酵菌が生産する産物の処理を助けることで、腸内微生物の生態系において重要な役割を果たしている。つまり、SRBは腸内細菌叢の中で二重の役割を担っており、その影響は完全に有害なものではないと考えられる。
意外な場所での窒素固定
硫酸還元菌のゲノムを比較したところ、そのうちのいくつかは窒素を固定する可能性があることがわかった。窒素固定とは、気体状の二窒素（N2）がジアゾ栄養微生物によって生物学的に利用可能なアンモニア（NH3）に変換されるプロセスのことである。
我々は、この細菌が窒素固定の可能性を持つだけでなく、これらの遺伝子が活性であることを示した。いくつかのDesulfovibrio種は、自由生活環境や（窒素に乏しい食餌を持つ）シロアリの腸内からも窒素を固定することが知られていた。Desulfovibrio diazotrophicusは、哺乳類から分離された硫酸還元菌の中で、窒素を固定することが示された最初の菌である。
我々は、ヒトに関連するDesulfovibrionaceaeに窒素固定が一般的であるかどうか、また窒素固定遺伝子が機能的であるかどうかを調べる研究を行った。
メタゲノム配列決定、生理学的試験、トランスクリプトミクスを用いて、この魅力的な微生物の能力に光を当てた。さらに、デスルホビブリオにおけるニトロゲナーゼの有病率を明らかにするために、45人のヒトドナーのメタゲノムと835人の便のメタトランスクリプトームを調べ、広範囲に及ぶ解析を行った。これらの解析から、45人のヒトドナーのうち少なくとも22人にD. diazotrophicusが存在し、835検体の便のうち6検体で主要遺伝子が発現していることが明らかになった。この細菌は細菌集団の1％未満であるため、腸内での活性の証拠を見つけることができたのは驚きであった。
なぜデスルホビブリオ・ジアゾトロフィカスが窒素を固定するのだろうか？
人間の場合、必要な窒素のほとんどは食事から摂取されるが、窒素固定は特定の集団のマイクロバイオーム内で起こりうる。哺乳類の腸内は窒素制限されており、宿主は分泌物によってマイクロバイオームが利用できる窒素の量をコントロールすることができる。このことは、腸内環境における窒素固定細菌の競争上の優位性について、他の細菌が占有できないミクロクロニクスの占有が可能であるという興味深い問題を提起している。
硫酸還元菌とその予想外の窒素固定能力に関する我々の旅は、まだ始まったばかりである。
私たちは、この小さな化学エンジニアの謎をさらに深く掘り下げ、マイクロバイオームにおける彼らの存在の意味を探っている。
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