レモンティー
澄んだ秋空
真っ直ぐに渡る国道
鷹が旋回しなら上昇気流を
つかまえている
遠く向こうの空には真っ直ぐな羽の飛行機 緩やかに上昇
私は直線道路を滑るようにあの空へ車を走らせる
道路沿いに等間隔に立つヤシの木々
スピードをゆるめる
道の駅にとまって2階のテラスで
お昼のランチ定食
食後に頼んだのは
いつものコーヒーではなくて
澄んだ色の紅茶
ミルクじゃなくてレモンにした
窓からみえる木々の紅葉前の
黄緑色が
秋の金風に染まり
影さえも薄くしている
澄んだ紅茶のカップに
レモンを入れてずっとスプーンで
くるくると回していた
傍らで開いて読んだ詩集
秋の言の葉が
表と裏を見せながらくるりくるくるりと
私の心に落葉して
螺旋状の澄んだ涙を
淀んだ泉に落とすから
波紋を広げて揺らすから
冬の予感は飲みほして
檸檬の味を噛みしめた
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