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Photo by
isshi_projects
丘を歩けば
小高い丘の上から
坂を下るとに遠く雲は目線と
同じ高さ
西日に向かって歩いても
この季節の光はやさしくて
遠くまで見渡せる
垂れ桜の木の枝にはもう
芽がついている
オレンジにてらされて
穂先が黄色く透き通る
楓並木は赤くそめられて
オレンジのシャドウがもかかる
もうすぐ沈む夕陽は
羊雲の織物を染め上げて
遠い木陰の合間を揺れる光のオペラグラス
国道を走るタイヤ音
木枯らし
雀の羽ばたきに
遠のくカラス達の鳴き声
夕陽のぬくもりを称える
五時のチャイムが
賛美合唱のフィナーレ
さあさあ夜の帳のじゅんびだと
灯る街灯
駆け抜けるへッドライト
野球少年達は
もうすぐボールが見えなくなるから
早く投げろと次々に声や手をあげる
幼い少女達も団子になりながら
最後のブランコを惜しむように漕いで
足早に帰っていく