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詩│秋風が運ぶもの

少しだけ秋風が吹いてきてた

カラマツの木々の間を

ヒグラシが

透明な声を響かせて

鏡の世界かと迷い混む

秋の風が吹いてきた

日が深く差し込むから

カーテンが赤く透けている

空気が少し乾いてきて

秋風が夏の面影をさらっていく

匂い草もあの日光った涙も

風に吹かれて

木の葉の音も

秋の気配

少しずつ無口になってしまうけど

君と巡る季節を感じて生きている

それだけでも 

ちょっと遠くの空を見て

形を変えていく雲に

安らぎを感じているよ

変わっていくけど変わらないもの

それもちゃんと映っている

四拍子で

ジグザグに歩きながら

頭の中を空っぽにして

ただ歩く

夕日が斜めに差してくる

稲穂が黄金色に輝く

秋風がお米の香りを運んで

お似合いのトンボ達が遊ぶ

実って 実って

深まる 深まる

四拍子 

ジグザグ ジグザグ

秋風をまといながら

木の葉が土を肥やし

実る丸い果実を思う

オレンジ色のコスモス畑で

立ち止まる

あのこのまん丸笑顔が

オレンジで

ヒラヒラと舞う蝶々の羽も

オレンジで

夕陽に染まる一刻一刻を

ヒラヒラ ゆらゆら

ジグザグ ジグザグ

秋風と四拍子を刻みながら

いっぱい遊んだら

もうすっかり

空は

あかあか 茜色

「おいもーおいもーだよー」

夕焼けた秋風が

きっと 

あの子もわたしも大好きな

甘い香りも運んでくる


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