夏夢の冒険
旅に出る
夢 みたんだよね
夏の日差しがそんな夢にいざなった
のかもしれないけど
君とあのクスノキの下で待ち合わせ
旅は準備する時から少しずつ羽が
はえたかのようなフワフワした
気分になるから鼻唄を歌いながら準備をしてた
懐中電灯やランタン、お菓子は
熱に溶けないスナック系
リュックを背負って靴を履いて
玄関を出るときの
なんともいえない風をうける
心の清々しさといったらない
まあ 君と待ち合わせしているから
だろうけどね
ふと旅の途中で立ち止まり
待ち合わせではなく玄関を出ていく人をおもった
ただ何も持たず出ていく人の気持ちがかすめる
こんな希望なんてないんだろう
自分の身体を引きちぎるおもいで出ていく人の気持ち
君とふたりで林をゆっくりと
ザクザクと歩きながら
考えてみたんだ
きっと青二才のボクにはわかりかねるけど
きっと本当に自分の一部を捨てる
思いなんだろうな
君が夜になるたびに涙を流すから
きっとその人の一部はずっと
君から離れられない
優しい幽霊
ごめんなさい おこんないでよ
勝手な想像だよ 確かに
図々しいのが短所で長所だからさ
さあ もう少し歩いたら
あの木陰で休もう
夜はそこで火を焚いて
お互い交代で眠ろうね
なかなか火がつかなくて
喧嘩になりそうになりがらも
ちょっと幽霊の事をボクが口にしたら
きみは遮るように無心に木を摩擦したら火がついたね
はは すごいな かなわないや
火をくべることが出来ました
ありがとうございます
そう 優しい幽霊に言ってみた
君は火を見つめて静かに
一筋の涙を流して真っ赤な顔と瞳に
染まってとても綺麗だった
その顔を忘れないようにしたいと思った
夏の思い出
あっ
夢だったけど
忘れない