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詩│六等星の願い事

カーネーションの装飾が華やかな

昼間のデパートには

遠のいた君の心を

つなぎとめておくロマンチックな

言葉は売ってはいなかった

何処を探しても見つけられない

可愛いキッチン用品

最新のマッサージ器

流行りの多肉植物

私の気持ちを一時軽くしてくれた

私も一時だけでも君の心を

軽く出来たならいいのだけれど



明るすぎる夜の街

少し離れた工場地帯

車のヘッドライトが近づいては遠のいて

静かな路地裏の壁にも大きく映っては

暗闇にのまれて 

二人の影を伸ばしては縮めていた

君の顔にヘッドライトがあたる度

ハッキリと見えては消えていく

ネオン広告のケバケバしい照明が

目の下のクマをどぎつくさせて

君の優しい言葉さえ少し不安にさせた


なけなしの勇気を費やして

君に送る言葉を探しに

あの森へ行く

あの草原から星を眺めれば

六等星まではっきりと見えるから

いつもは見えなくてうその様だけど

君が探してくれればキラッと微笑むよ

こんなに空が暗くても

こんなに星が無数に在る

こんな空もある

こんな空もあるんだね

この空の下では未来の行方を
案じる言葉はいらないね

君をロマンにつなぎとめる言葉さえ
いらない

小さな星座でも
あの六等星は必ずあるから

言葉はいらない

言葉はうそになっていかない

この空にとけていくだけ

この空にとけていく

目先の輝きにとらわれた

盲目の瞳を洗い流して

この空にとけていった

この空にとけていくだけ

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