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自分を取り戻すのに1年かかった話

学生を抜け出して1年と少し経った。
人生の半分以上を「学生」として生きた。
いわゆる学生ブランドがあった。守られていた。

学校の勉強は得意な方だった(と思っていた)。
テストまでにこれをやりなさい、これを覚えなさいと言われたことを頭に入れる。その結果が評価される。こんなことを10年以上繰り返してたら頭が固くなる。
典型的な例がわたしである。

社会に出ると柔軟性が求められる。
評価の仕方がまるで違う。
今まで失敗してこなかった(失敗しそうなことははじめから挑戦しなかった)私は壁にぶち当たる。

社会人一年目、
マルチタスク、臨機応変、優先順位、タイムマネジメントに苦しむ。分からないことが分からない現象。
知識の無さが露呈し、勉強が得意だと勘違いしていた私は心が折れる。現場では教科書通りにいかないことを痛感する。

自分の強みである適応能力と愛嬌。
これだけで乗り切ったようなところはある。
初めましての人や環境は得意な方である。

1年間働いていると、働く上での自分の特性が分かってくる。私の場合、「すぐ忘れる」こと。
点滴が終わる時間を忘れたり、時間に余裕があるからと後回しにしたことを結局忘れたり。
看護師ならどこでも同じだと思うが、朝に担当患者のカルテをザーッと見て一日の行動計画を紙に書く。ここで情報を見落としたら終わりだが、とにかく忘れっぽい私は、「頭の片隅に置いておこう」みたいなことは無く、できる限り書くか印刷する。途中で舞い込んできたことも全部とりあえず書く。終わった仕事から太いマーカーで塗りつぶす。
あとは定期的にタイムアウトして忘れてることがないか振り返る。
ひたすらメモをとることとタイムアウトすることが、忘れっぽい私のシンプルなリスクマネジメント。これだけでミスが格段と減る。自分の記憶力を過信しない。

どうしても仕事が回らないときは、他の人に振る。これが先輩後輩関係なく、遠慮なくできるのがうちの職場のいいところ。
それでもダメな時は、患者さんに事前に遅れることを一声かけておく。これだけで私も患者さんも心の余裕が出る。

一日の中で分からないことがあったらその場or帰ってから調べる。それを繰り返していれば優先順位とか臨機応変とかは毎日仕事に行っていれば自然と身についてくるものだと感じた。

今はこんな風に振り返られるが、1年前は仕事に行くだけで心も身体も疲れて、勤務後に外食したり仕事の前日に夜遅くまで遊んだりは出来なかった。
次の勤務で失敗したらどうしようとか、分からないことが沢山でパンクしたらどうしようとか、休みの日も仕事のことで頭がいっぱいだった。
とにかく自分を労ることで精一杯だった。

でも今は以前のアクティブな自分が戻ってきつつある。仕事の前日ギリギリまで大好きな旅行を楽しんだりできるようになった。

わたしがわたしらしく居られている実感が戻ってきた。

最近はまた生きるのが楽しくなった。
休みの日に何をしようか、どこに行こうか考えている時が一番ワクワクする。
休みの日を軸に生きている。そのために働いているような感覚。

いい環境で働けて、休みの日はこうして自分と向き合ったり、大切な人たちと過ごしたりできる今を、これからも大事にしていきたい。

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