café taneのココアイス
ひー、どうしよう。
午前中のもやもやを吹き飛ばそうと、思い立って入れた美容院の予約。
わさわさと騒がしいお昼時の駅前では食べたいものが見つからず、
妥協した買った食パンを1枚かじり恵比寿まで移動した。
何か食べよう。野菜が食べたい。それとも、カフェラテを飲もうか。
さっきの食パン、変にしょっぱくておいしくなかったな。口直し、口直し…。
駅の周りをふらふらと歩きながら、時間をつぶせそうなカフェを探す。
だがさすがは平日の恵比寿。どのお店も、ランチに出てきた会社員たちでいっぱいのようだった。
諦めてコンビニに寄ろうかと思った時、道脇の立て看板に目が留まる。
『豆・種・ナッツのカフェ café tane』
「この道を進んで」とある先には、アパートの裏にありそうな細ーい路地。
こんなところに?と思いながらも、“豆・種・ナッツ”のとりあわせと「smoothie」の爽やかさに惹かれて進んでみる。
突き当りには、やっぱり裏口を思わせるグリーンの鉄ドア。中にある階段を上がるとお店があるらしい。あまりの入りづらさにむしろわくわくしてきて、おそるおそる階段を上がると、仕込みをしていた店員さんが「いらっしゃいませ」とほほ笑んでくれた。ほ。
メニューを開いてまず気になったのが『ココアイス』。
豆乳とココナッツシュガー。しゃりしゃり。
添えられた言葉すべてが気分にぴったりだったけれど、うまく回らない頭で「アイス」に若干後ろめたさを感じ、わかりやすくヘルシーな響きのスムージーを注文する。
でもやっぱりココアイスだ。名前もかわいい。ココアイスが食べたい!
「すみません、やっぱりココアイスをお願いします!!」
高さのあるデザートボウルと長いスプーンって、なんでこんなに気分が上がるんだろう。運ばれてきたココアイスを見てそんなことを思いながら、うきうきとスプーンを手に取る。
すくうと、しゃり、口にいれると、じゅわー。
ジェラートとソルベの間みたいな、軽さのある食感が心地いい。ココナッツシュガーの優しい甘さと大好きな豆乳の風味が、歩き疲れた体に沁みた。
あー、おいしい。
おしゃれなスカーフを巻いた店員さんが、作業をしながらカウンター越しに話しかけてくれる。気さくでフレンドリーな、会話の楽しい方。
自家製おやつナッツの試食までいただいて、明るい気持ちでお店を出た。
次は看板メニューのカレーを食べにこよう。
食後にココアイス。今度は、熱々のコーヒーに合わせたいな。