横田 祥/横田農場
米粉スイーツや田んぼの学校、絵本制作など活躍の場が広がる!
■プロフィール
茨城県立竹園高校を経て、東京学芸大学に進学。熱気球クラブの活動中に夫の修一さんと出会って、結婚を機に就農する。
夫の実家は、平安時代の1182年から代々稲作を営む農家の家系で、結婚当時は20ヘクタールだった農地が、近隣農家の後継者不足により、過去10年間で7倍以上に拡大した。
2010年以降は、米粉を使ったスイーツ開発に力を入れるようになる。6人の子育てを続けながら、食育インストラクターや、日本穀物検定協会の米粉普及指導員、国内産米粉推進ネットワーク理事などを務め、米粉スイーツ専門家として、食育セミナーの講師や他企業とのコラボによるスイーツの開発に勤しむ。
2021年には茨城県の農業女子で活動する「アグリバトンプロジェクト」で絵本『おいしいまほうのたび あさごはんのたね』を出版し、全国の協力農家の間で読み聞かせ会などを開催。
■農業を職業にした理由
840年近い歴史を持つ米農家出身の夫とは、お互いの大学時代に、熱気球サークルの合同練習を通じて出会い、結婚に至る。
嫁ぎ先から農業をやってほしいと言われたことはなかったが、転勤族で団地育ちだったため、自然豊かな水田風景に感動して就農。
自分が感じた感動を多くの人と共有したいと、結婚後、田植えや稲刈り体験ができる「田んぼの学校」を始める。
6人の子供のおやつとして始めた趣味のお菓子作りが高じて、2010年ごろからは、くず米を活用した米粉でシフォンケーキやロールケーキなどを開発し、県農産加工品コンクールで最優秀賞を受賞するなど、横田農場のおこめlabo担当として、米粉スイーツや食育などにも熱心だ。
■農業の魅力とは
就農して24年ですが、水田風景を最初に見た時の気持ちは今も鮮明です。龍ヶ崎は、平坦な水田が広がっていて、こんなに気持ちの良い場所で日の出から日の入りまで仕事できる幸せに感動しました。
田んぼの学校を始めたのも、水田のカエルやザリガニ、メダカを見た時の驚きを共有したいと思ったから…。最近は東京からも希望者が多く、募集を始めるとすぐに申し込みが殺到します。
農場のキャッチコピーは「お米が好きすぎる農場」なので、地元の中学校で調査した「子供たちが将来なりたい職業ランキング」に農業が入っていなかった時はショックを受けました。
そこで農業の楽しさを子供たちに伝えようと、ブルーベリー農家とネギ農家と私の3人で「アグリバトンプロジェクト」というグループを結成し、『おいしいまほうのたび あさごはんのたね』という絵本を出版しました。
企画にあたっては、全国の農家に農業の魅力を取材して、クラウドファンディングで制作資金を募りました。完成したから終わりではなく、今は全国で協力してくれる農業者に読み聞かせ会を開いてもらっています。
このプロジェクトを企画しなければ、山形や沖縄など遠くの生産者と話す機会はありませんでした。プロジェクトの意義に賛同してくれた農業関係の企業や倉庫会社からは、読み聞かせやマルシェの場所を提供してもらっています。
絵本を読んだ子供たちが「嫌いなナスを食べられる気がする」「ニンジン大好き」など反応してくれるのが心から嬉しいのです。
■今後の展望
絵本出版のきっかけとなった「子供たちが将来なりたい職業ランキング」の1位がYouTuberと知って、当初は「やっぱりねぇ」と思ったものです。
でも、農家の女性にやれることはないと諦めたくありませんでした。私は認定女性農業士として、近隣の女性農業者と話すこともありますが、誰もが農業人口の減少について、どうにかしたいけれど何をすればいいかわからないと危機感を抱いています。
そこで6次化商品の開発や、農業系イベントへの参加を通じて知り合った女性農家と組んで、「アグリバトンプロジェクト」を立ち上げました。
今は第二弾として肉牛農家に光を当てる企画を進めています。重要なのは、絵本は農業の魅力を伝えるツールに過ぎず、農業者が読み聞かせをするという点。
今後は絵本の読み聞かせから一歩進んで、生産者自ら食育もできるようにマニュアルを整えていきます。こうした小さな活動の積み重ねが、子供たちの将来の選択肢に農業を選ぶ未来につながると信じているからです。
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