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米田 望/巣鴨養蜂園

法人名/農園名:巣鴨養蜂園
農園所在地:岩手県和賀郡西和賀町/東京都豊島区
就農年数:7年
生産品目:ハチミツ(100%国産天然の非加熱)さくら、アカシア、ふじ、山の花、栃の花、クロバナエンジュ、栗の花など、単花蜜は11種類(瓶とスティックタイプで展開)、巣みつ、スズメバチのハチミツ漬けなど
HP:https://www.sugamo-youhou.com/

no.57

父と娘の二人三脚。ミツバチが生活にどう関わるか伝えたい

■プロフィール

 東京・豊洲の消防士だった父・髙橋正利さんが、銀座ミツバチプロジェクトへの参加を通じて養蜂の楽しさに目覚め、2015年には早期退職して故郷・岩手県西和賀町で養蜂を始めると宣言。

 望さんは保育関連の仕事をしながら子育てをしていたが、キックボクシング選手の夫が「減量時でも体調がいい」と気づいたことがきっかけでハチミツの健康効果に興味を持つようになる。産休中の2014年、父の開業準備を手伝ううちに、養蜂園の販売事業を担当することになった。

 養蜂一筋の父と二人三脚で、ハチミツの魅力を伝えながら、ミツバチが人間生活にどのように関わっていくか情報発信するべく「ハチミツマイスター」や「アスリートフードマイスター」の資格も取得。

■農業を職業にした理由

 早期退職した父が岩手で作ったハチミツを食べたアスリートの夫が、「減量時でも筋肉疲労が起こりにくく、体調がいい」と指摘したことで、ハチミツへの関心が深まり、勉強を始める。

 公務員一家に生まれ、自身も商売経験がないなか、真摯に養蜂に取り組む父の姿に心を打たれ、販売や営業活動を担う右腕として支えるように…。

 開業当初は年間の売上が500万円に届かなかったが、雑味成分が混じらない隔王板(かくおうばん)を用いた採蜜方法に徹底的にこだわった結果、2019年には最も美味しいハチミツを選ぶ「ハニー・オブ・ザ・イヤー国産部門・最優秀賞」を受賞。

■農業の魅力とは

 養蜂は野菜のように年間に何回も作れず、限られた約3カ月が勝負です。気候に左右され、花が咲いている場所から場所を求めて移動しなければならない重労働です。

 つまり、10年のキャリアがある養蜂家でも、10シーズンしか経験が積めませんから、新しいことに挑戦するのは難しい。ですが、新規参入だったからこそ、一般的な採蜜方法を選ばずに、手間暇を惜しまず、養蜂技術を確立できました。

 私の役割は、尊敬する父がこだわって作ったハチミツの魅力を、消費者に伝えることです。ハチミツは薬局で売られるほど効果・効能が高い食品ですが、体にいいことは知られていても、実用的で具体的な活用法などはあまり知られていません。

 食の大切さを、3人の子供を含む次世代に伝えるためにも、ミツバチが農業・畜産・林業という生活にどう関わっているか、ワークショップや勉強会を通じて広めていきたいと思っています。

■今後の展望

 岩手県和賀郡西和賀町で、条件の良いアカシアの蜜源を確保できたことで、現在は、生産量を年間2トンに増やし、アカシア以外にも菩提樹やさくら、ふじなど11種類の単花ハチミツを展開しています。

 雑味が混じっていない100%天然の非加熱ハチミツだとして、「ハニー・オブ・ザ・イヤー国産部門・最優秀賞」を受賞したことも手伝って、地元のふるさと納税返礼品に選ばれました。

 今では年間売上2,000万円に成長しましたので、今後は自社ECサイトの機能を強化して、私たちの商品を正しく評価してくれるお客さまに届けていきたいです。

 地元ではミルクショップで販売されるヨーグルトに私たちのハチミツが使われていますが、これからは地域おこし協力隊などと一緒に地方創生にも貢献し、東京から人を連れて行って、養蜂に関わりたいと思う人を増やしたいと考えています。

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