木下 徳之/木下農園
地元最若手20代!農業大学校の助手だった後輩思い
■プロフィール
柑橘農家の4代目。地元の三瓶高校を卒業後、普通の大学への進学を考えていたが、小さな頃から両親が農作業をする様子を見て、あとを継ぐことを決意。
両親の勧めで、愛媛県立農業大学校で、柑橘類を中心に、ぶどうや桃などの落葉果実の栽培を2年間勉強。卒業後は、大学校に助手としてそのまま残り、後輩指導を2年経験したのち、実家に戻って就農。
父のもとで柑橘栽培をしながら、就農して2年目の2020年からは、食べチョクなどの直販サイトへの出店に挑戦したり、オリジナルの段ボールを制作するなど、自分のカラーを出すことに意欲的だ。
■農業を職業にした理由
高校まで野球に夢中で、家業を継ぐつもりはなかったが、2人の姉がいる末っ子長男ということもあって、進学先を考えた時に、幼い頃から両親が大切に育ててきた柑橘を守りたい、ミカンのことをもっと多くの人に知ってもらいたいという気持ちが強まり、就農を決意。
愛媛県立農業大学校で、柑橘や果樹の栽培の基礎を学んだのち、両親の強い勧めを受けて社会勉強のために農業大学校に就職して2年にわたって助手職を経験。
後輩に教えることで、学生時代には気づかなかったことを理解したり、若い世代と交流することで農業人脈が広がって、愛媛県内の他の地域の農業事情などを知ることができたという。
■農業の魅力とは
工夫したり、努力したら、その分、成果に結びつくのが魅力です。
栽培に関しては55歳の父が師匠ですが、柑橘や果樹は、人によって栽培方法が異なりますから、農業大学校で学んだ知識を活かして、白い反射シート(タイベックシート)を敷くようにしたり、液肥や病気になりにくい剪定方法を取り入れるなど、新しい技術や方法も積極的に導入しています。
従来は、生協や学校給食用に出荷していましたが、2020年からは産直サイトへの出品を始めました。
就農して2年目で新しいことを始めたい、自分のカラーを出したいと思っていた頃ですが、今までお客さんの声を直接聞くことがなかったので、感想が聞けるのは何よりも励みになります。
クレームひとつとっても、例えば「まどんな」は皮が薄いので割れやすいのですが、お客の意見を受けて改善することは喜びにつながります。
直販を始めてから農園オリジナルのキャラクター「キー坊」を使った段ボールも作りました。デザイナーさんと何度もやりとりして、インパクトを出すために文字の配置にもこだわりました。
農業同様、モノづくりは大変だけれど、ひと目で「木下さんのミカンだ」とわかってもらえる箱が完成して満足しています。
■今後の展望
地元には20代の若い農家がいないので、僕が最若手です。父も55歳とまだ若いので、収穫は両親と僕の3人が中心ですが、将来的には規模を拡大して法人化も視野に入れています。
就農して以来、引退する農家から農地を譲り受けて、栽培面積が4町に広がりました。
地元には90代のおじいちゃん農家もいるので、今後は引退する農家も増えてくると思いますが、耕作放棄地を増やしたくないので、農業大学校の後輩など、若い就農者が入ってきたら、僕らの世代で協力しあって、荒れた農地を減らしていこうと思っています。
また新規就農者には、働きやすい環境を整えてあげることも僕らの役割です。うちは農協には加盟していませんが、月に1回、若い農業者が集まって意見交換会を行なって、地域の現状などについて報告しあったりして、産地としての結束力を強めています。