飯田 実/飯田農園
「幻のトマト」ブランドをのれん分けで拡大。海外進出を狙う!
■プロフィール
露地野菜や水耕みつばの農家に生まれる。近畿大学農学部に進学するが、卒業後は食品メーカー金印に入社し、刺身用わさびの小袋の製造加工に携わる。
長男の病気がきっかけで就農を決意。愛知県立農業大学校に1年間通って栽培の基礎を学びながら、トマト農家の師匠を探し、半年間の研修の末、実家の農地に建てた5アールのビニールハウスで2010年に独立。
カツオと昆布を中心に自家配合した天然由来の肥料にこだわった結果、糖度が高いだけでなく旨味を感じると大好評。コロナ禍で飲食店や百貨店との取引がストップするも、出荷できないトマトをドライトマトに切り替えるなど、早くから6次化に積極的に挑む。
2021年には自動販売機を設置、2022年2月にはクラウドファンディングで資金調達して一宮市に第二栽培ハウスを新設。トマトアーティスト協会品評会金賞、野菜ソムリエサミット食味部門で金賞受賞。
■農業を職業にした理由
土まみれで働く農家の両親の姿を見て育ったことで、「農業は嫌だ」と大学卒業後は食品加工メーカーに就職。
36歳の時に、長男が生まれつき食道が胃に届かない先天性食道閉鎖症だと判明したことがきっかけで、自分たちが口にしていた食べ物に問題があったのではないかと悩むようになり、子供のために安全な食べ物を作ろうと就農を決意する。
農業大学校で勉強し、トマト農家で半年間の研修を行ってから、実家の農地でミニトマト栽培を始めるも、面積が5アールと小さいため、規模拡大には限界があるとして、バッグカルチャー(袋培地栽培)を選び、天然肥料にこだわることで付加価値をつけようと考える。
当初は「全量買い取り」を約束していた業者の購入量が安定しないことから、庭先販売を開始。しばらくは「買ってください」を言い出せなかったが、保育園の保護者を中心に口コミが広がり、百貨店への飛び込み営業などを行って販路を拡大。
「幻のトマト」として人気を呼び、ジュースやお酢、ドライトマトなどの6次化にも積極的だ。
■農業の魅力とは
会社員生活が10年以上あったので、どんなことをやるにも自己責任で挑戦できます。僕だけではなく、家族にとっても価値がある仕事です。
3人の子供たちも「パパのトマトは美味しい」と喜んで食べてくれますし、テレビ取材の対応についてアドバイスしてくれたり、英語が苦手な僕のために、海外輸出の役に立とうと英語の勉強を頑張っています。
中学1年生の末っ子も「ここは私が継ぐから、兄ちゃんたちにあげちゃダメだよ」なんて言いながら、作業を手伝ってくれます。
また買いに来てくれるお客さんのなかにも、おじいさんが「野菜を食べて感動したのは初めてだ」と褒めてくれる人がおり、お金には代え難い喜びです。
僕のトマトをもっと広めるために、食育やトマト狩りなどの体験農園の機会も増やしていこうと思っています。世界に向かって、トマトを羽ばたかせるのが夢なのです。
■今後の展望
名古屋の中心からほど近い市街地で、5アールのハウスから始めましたが、3年目には供給が追いつかず規模を拡大しました。
2022年2月には、クラウドファンディングで調達した資金を元に、一宮市に第二ハウスを作りました。こちらは、農園で働いていた弟子にのれん分けの形で生産を任せています。
都市型農業なので、規模拡大には限界があるため、ウチで栽培を学んだ弟子のFC(フランチャイズ)化を通じて、飯田農園グループの市場拡大を目指します。
コロナ禍以前は香港をはじめ、マカオやシンガポール、マレーシアへの輸出拠点作りを進めていました。フィリピンに現地農場を作ろうと計画したこともあります。
7年前にマレーシアへ商談会に行った際には、マンダリン・オリエンタルホテルでトマトジュースを取り扱ってもらうことにこぎつけました。しかし、現地ではトマトを生で食べる習慣もないし、美容に良いという考え方も浸透しておらず、普及が難しかった。でも誰かの後塵を排するのはイヤなのです。
トマトを生で食べる食文化ごと輸出する思いで再挑戦したいと思っています。
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