情念。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第236回】
今週はいくつか観ることのできた来日公演の感想を書いていければと思うのですが、まず一つ目は11月30日に豊洲ピットで行われたキャロライン・ポラチェックの来日公演です。フジロックフェスティバル ‘23ではソロ・アーティストとして初の来日を果たしていた彼女ですが、目下の最新作『ディザイア、アイ・ウォント・ターン・イントゥ・ユー』が大充実の出来ということもあって、短いインターバルながら6歳まで住んでいたという日本に戻ってきてくれることになりました。
今週は来日公演が多かったこともあってか、満員というわけにはいかなかったのですが、単独なので当然のことながら、最新作の楽曲を全曲演奏するというフジロックを上回るヴォリュームのステージで、その中でも“Parachute”のようなレアな曲もやってくれる上、後半では“Caroline Shut Up”、“So Hot You're Hurting My Feelings”、“Door”という代表曲で見事なハイライトを作ってくれました。彼女が素晴らしいのは音楽を通して、身体と精神で生まれた思いというのがアート性を失うことなく、繊細な形で伝わってくることで、ライヴが進むに連れて、その思いを受けて会場の温度が上がっていく様子は語り継がれてもいいくらい貴重なものとなっていました。
もう一つは今、終わったばかりのノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズのライヴです。オアシス時代からファンの人であるほど知っているように、ノエル・ギャラガーのライヴにサプライズはありません。最後に演奏されるのは決まってあの曲ですし、ソロの曲とオアシスの曲の割合もそれほど変化することはありません。なのですが、ノエル・ギャラガーのライヴを観たくなるのはUKロックのアンサンブルとして完璧なものを鳴らしてくれるからです。それはオアシスというバンドの最初のアルバムで決定的な大正解を鳴らしてしまった人にしか鳴らせないものであり、だからこそ来日する度にいろんなことを言いながら、ライヴ会場に足を運んでしまうのではないでしょうか。
今週はザ・ポーグスのフロントマンであるシェイン・マガウアンの訃報も届きました。享年65歳でした。ノエル・ギャラガーは来日公演でアンコールに演奏した“Live Forever”をシェイン・マガウアンに捧げています。御冥福をお祈りいたします。
Pic by Matt Crockett
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