黙示【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第260回】
今週は先週末にリアム・ギャラガーによる『ディフィニトリー・メイビー』30周年記念ツアーがシェフィールド公演を皮切りに開幕しました。最初にこのツアーの存在が言及されたのは、もう1年近く前となる昨年7月のことで、オアシスのデビュー・アルバムが30周年を迎えることを受けて、世界各地の会場でアルバムの全曲を演奏するというコンセプトを明かしていました。ツアーの具体的な日程が発表されたのは昨年10月のことで、UK&アイルランドだけで10公演以上が行われることが発表され、チケットへのあまりの需要から追加公演も発表されることになりました。
その後はノエル・ギャラガーの不参加の経緯や演奏されるBサイド曲などに注目が集まっていたわけですが、いざ開幕したツアーの中身は、遠く離れた極東から眺めているだけでも、やはりファンとしては控え目に言っても心くずぐられる内容になっていました。ライヴは、1994年へと30年の歳月を巻き戻すカウントダウンと共にアルバムと同じく“Rock ‘n’ Roll Star”で幕を開け、“Digsy’s Dinner”や“Bring It On Down”といったアルバムの珠玉の楽曲が披露されていくのですが、今回のツアーにおけるセットリストの行間に漂う微妙なニュアンスが最も表れていたのは、この日演奏されたアルバム以外の楽曲だったように思います。
“I Will Believe”や“(It’s Good) to be Free”といった往年のBサイド曲が演奏されたのはリアム・ギャラガーが約束していた通りでしたが、注目だったのは“D’Yer Wanna Be a Spaceman?”や“Half the World Away”、そして“Lock All the Doors”といったあたりでした。いずれも音源ではノエル・ギャラガーがリード・ヴォーカルをとる曲で、“Lock All the Doors”に至ってはオアシス時代からデモとしては存在していたものの、最終的に正式なリリースに収録されたのはノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズのセカンド・アルバム『チェイシング・イエスタデイ』でした。こうした曲をやることをノエルが把握していなかったとはにわかに考えられず、そうするとこのツアーの意味合いというのがより見えてくるのではないでしょうか?
今週も数多くの注目作がリリースされていまして、チャーリーXCXの通算6作目となる『ブラット』、ケイトラナダのサード・ソロ・アルバム『タイムレス』、オーロラの通算5作目となるアルバム『ホワット・ハプンド・トゥ・ザ・ハート?』、そして、ジェイミー・エックス・エックス、ホールジー、レイ、サブリナ・カーペンター、ビーバドゥービーらの新曲もリリースされています。
『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
下記以外の27局 日曜日午前4時〜
Kiss FM KOBE 日曜日22時〜
FM宮崎 月曜日午前1時〜
FM新潟 土曜日午前11時〜
※放送局によって時間は変更になる可能性があります。
#NMEJapan編集長がちょっと思っていること #NME #NMEJapan #エッセイ #音楽#バンド #ロック #音楽レビュー #洋楽 #音楽コラム
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?