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圧巻。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第287回】
今週はザ・ルーツの来日公演にうかがうことができました。ザ・ルーツと言えば、アメリカの人気テレビ番組『ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン』のハウス・バンドも務めていますが、そうした立ち位置も含めて、ブラック・ミュージック界全体、音楽界全体の宝と言ってもいいバンドだと思います。ドラムのクエストラブについては、1969年のハーレム・カルチュラル・フェスティバルを検証した2021年公開のドキュメンタリー『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』の監督も務めていて、年明けの1月には長寿番組『サタデー・ナイト・ライヴ』の50周年を記念した音楽ドキュメンタリーが放送されることも決定しており、その活動はさらに広がりを見せています。
2022年以来、2年ぶりとなった今回の来日公演は事前のコメントで『ドゥ・ユー・ウォント・モア?!!!??!』から最新作の『アンド・ゼン・ユー・シュート・ユア・カズン』まで、すべてのアルバムの曲を演奏すると語っていたのですが、それどころか彼らのライヴでは定番となっているクール&ザ・ギャングの“Jungle Boogie”のカヴァーを含め、ブラック・ミュージックの歴史を踏まえたものとなっていて、そこに1999年発表の名作『シングス・フォール・アパート』などの楽曲が入ってくるという流れになっていました。
『ドゥ・ユー・ウォント・モア?!!!??!』に収録の“Proceed”や『ティッピング・ポイント』の“Web”なんかもありつつ、終盤は“You Got Me”が壮大過ぎるギター・ソロと共に披露され、最後はクエストラブによるドラム・ソロもありつつ、ブラック・ミュージックの名曲のメドレーで幕を閉じることになりました。先日もケンドリック・ラマーの“Squabble Up”のミュージック・ビデオで“The Next Movement”のセットが引用されたりと、ヒップホップ界において重鎮としての存在感を示すザ・ルーツですが、彼らの肉体性が爆発しているライヴを観ると、ブラック・ミュージックの巨大な潮流との繋がりを痛感させられます。
今週はサマーソニック2025が開催されることも発表されました。8月16日・17日にZOZOマリンスタジアム&幕張メッセと万博記念公園で開催され、ラインナップ発表は年明けに予定されているとのことで、楽しみにしています。
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