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遍在。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第288回】

今週はウェンズデイのギタリストであるMJレンダーマンの東京で開催されたファン・ミーティングに足を運ぶことができました。rockin’on sonic出演のために来日していたウェンズデイですが、その来日公演の機会を使って、MJレンダーマンが昨年9月にリリースした通算4作目のソロ・アルバム『マニング・ファイヤーワークス』のプロモーションとして、都内のライヴハウスで弾き語りによるソロ・パフォーマンスを披露する場がもうけられることになり、うかがってきました。

ソロ・パフォーマンスと言いつつもラップ・スティールのサンディ・ケルミスやコーラスでカーリー・ハーツマンも参加するという布陣で披露されたライヴは、各メディアのイヤー・エンド・ランキングでも軒並み上位に入ることになった『マニング・ファイヤーワークス』の珠玉の楽曲が披露されていく展開となりました。“Manning Fireworks”のあたたかい弾き語りから始まり、“Joker Lips”も、“She's Leaving You”も、“On My Knees”もやってくれて、最後はピンク・フロイドの“Wish You Were Here”のカヴァーで締めくくられるという流れで、MJレンダーマンというアーティストの今を十二分に堪能できるパフォーマンスでした。

MJレンダーマンは同じく各メディアのイヤー・エンド・ランキングで上位に選出されることになったワクサハッチーの『タイガーズ・ブラッド』にも参加していたこともあって、昨年2024年はアメリカのインディ・シーンにおける最重要人物として注目を集めることになりました。けれど、間近で実際に見たその人物はそうした謳い文句とは無縁の、肩の力が抜けている印象で、形骸化しがちなポップ・ミュージックの世界において、ソーシャル・メディア全盛の2020年代であっても日常の延長線上にある地に足のついた表現は可能だという、作品からも強く感じられるアティテュードを感じることができました。

今週は毎年発表されているBBCによる新人アーティストのランキング、サウンド・オブ・2025の結果も発表されています。今年は候補資格に関するルールが変更されたこともあって、当然のことながらトップ5は実績や受賞歴のあるアーティストが並ぶ形となったのですが、これもポップ・ミュージックの形骸化の側面が表れてきている一つの事象なのかもしれません。

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