見出し画像

誤解。【NME Japan編集長がちょっと思っていること 第259回】

今週は本日5月31日に行われたゲイルの来日公演を観てきました。まだ19歳のシンガーソングライターであるゲイルことテイラー・ゲイル・ラザフォードですが、2021年にリリースしたシングル“ABCDEFU”が全英1位/全米3位を記録する驚異的なヒットとなったことで、一躍時の人になりました。その元カレを痛烈に批判する内容は大きな話題となりましたが、あまりにあの曲の存在が大きかったために、そのイメージだけが独り歩きしてしまったところもあるのですが、ライヴの彼女はそういうアーティストではないんじゃないかと思って、来日公演に足を運びました。

ディストーションのしっかりかかったギターのサウンドで始まったライヴは、まさにソングライターとしての、プレイヤーとしての彼女の飾らない姿を見せてくれるものでした。ライヴの映像なんかを観ていても、チャートを彩る10代のポップスターというよりは地に足のついた優れたオルタナティヴ・ミュージシャンという印象を抱いていたのですが、まさにそれを地で行く格好で、ジョーン・ジェットの“Bad Reputation”や“I Love Rock ’n’ Roll”のカヴァー、時折見せる非凡なロングトーンなど、本当にライヴハウスが似合うアーティストで、大ヒットの驕りなんてものもまったくありませんでした。

なにより感心させられたのは、どの曲もスタイルの違う様々なフックがあることで、赤裸々な思いを率直に曲に乗せたら、そこにはポップが宿ってしまうという感じで、この人の場合、“ABCDEFU”のヒットもあくまで結果論なのだと思います。本人もそれをよく分かっているからこそ、こうした形でキャリアを歩んでいて、ワン・ヒット・ワンダーなんて言われても、持ち前のユーモアでしたたかにネタにしてみせる姿が目に浮かぶようです。もちろん、“ABCDEFU”は会場をあげての大合唱でしたが、観ていて清々しい気持ちになるライヴでした。

今週はエミネムの新作からのニュー・シングル“Houdini”もリリースされています。ミュージック・ビデオは“Without Me”のビデオを使ったもので、ドクター・ドレ―やスヌープ・ドッグ、50セント、コメディアンのピート・デヴィッドソンといった豪華ゲストもカメオ出演しています。様々なティーザー映像への力の入れようを見ても、新作『ザ・デス・オブ・スリム・シェイディ(クー・デ・グラス)』が楽しみです。

『RADIO NME JAPAN~NEW MUSICAL EXPRESS JAPAN~』放送中
下記以外の27局 日曜日午前4時〜
Kiss FM KOBE 日曜日22時〜
FM宮崎 月曜日午前1時〜
FM新潟 土曜日午前11時〜
※放送局によって時間は変更になる可能性があります。

#NMEJapan編集長がちょっと思っていること #NME #NMEJapan #エッセイ #音楽#バンド #ロック #音楽レビュー #洋楽 #音楽コラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?