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編むことが私にもたらすメリット 1玉目

今日は編み物してて何かいいことがあるの?という問いに向き合ってみたいと思います。

まず、なぜそんなことを思うようになったか。それは何でもお金で買える世の中だからです。それも作るよりずっと安上がりで質のいいものが手に入ったりします。

ではなぜ私は編み物するのか。そこにお金で買えないものはあるか?人生という限られた時間を一目一目、一段一段にかける価値はあるのか?

病中、ソックスを何足も編みました。ちまたでソックニッターという言葉が流行っていたのも知らずに、ただ編むことに没頭していました。編んでいるときは自分の病気のこと、焦りや不安など考える余裕もありません。覚えたてのゴム編み、かかと、爪先、ひとつの靴下にたくさんの技が必要で、上手く行かないこともあれば、ほどいたり、やり直したり、ごまかしたり。

毛糸代もそこそこかかりました。海外のソックヤーンを通販で買うのですが、この毛糸がまた編み欲を刺激するんです。そのことはいいのですが、編めば編むほどお金はかかってしまいます。

「靴下なら3足1000円で売ってるよな…何でこんなに編んでるんだろう。」

ぼそりと呟いたのを母が聞いて曰く、「過程が楽しいんでしょう?」

当時の私に楽しいという感情があったのか。否、ただ必死でした。編む手つきもおぼつかないレベルでのソックニッティング。誰からも習うわけでもなく、ひとり調べて編んでの繰り返し。幸い調べれば編み物動画がある時代ですので助かりましたが、はじめて完成させたときは喜びより安堵が勝りました。

それでもなぜ編むことをやめなかったのか。

編んでいるときは無になれたからかもしれません。感情や思考は流されて、編み図と毛糸と針と自分だけの世界に没頭できた。それが今回の問いの一番目の答えのような気がします。

時間を没頭することに使うのが、はたしていいことなのか、まだ私にはわかりません。

でもその時間は穏やかです。

編み間違いにがっかりしたり、上手く行って喜んだり、今の私にはその余裕が出来てきましたが、編んでいる時は私は穏やかな時間を過ごしていることに変わりはありません。

私にとってはそれが一番の編み物のメリットなんでしょうね。

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