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適応障害とわたし@2020/10/8

スイートオレンジの甘くてさわやかな香りで目が覚めた。脇腹にはぬるくなった湯たんぽが転がっており、甚平はあいかわらず寝汗で湿っていた。
生理中でホルモンバランスが崩れているせいで、肌は荒れているわ腰は痛いわ集中力はもたないわで、じわじわとストレスが溜まっていく。
スマホを見ると5時10分。radikoをつけてワンモーニングが始まるまで布団の中でぬくぬく過ごす。外はどしゃぶりの雨だし、気温も11月並みの寒さで羽毛布団から出たくない。さすがにもうTシャツと甚平だけじゃ乗り切れない時期になってきた。
どうにか右手を伸ばしてイスの上にある部屋着を引っ掴んで、布団の中で温めながらスウェットとトレーナーに着替える。寒い、寒すぎる。
しかし、いつまでも布団の中で惰眠をむさぼってもいられない。今日も会社の仕事が始まる前に朝のストレッチやアロマテラピーの勉強を済ませないと。仕事が終わると疲労困憊で、日記を書くこと以外なにも手につかなくなってしまうんだから。
ベッドから重い腰を上げて、湯たんぽのぬるま湯で顔を洗ってから朝のストレッチを始める。体を動かしてるのに、腕や足には鳥肌が立ちまくってる。急に寒くなりすぎでしょ、この前のすっきりした秋晴れはどこに消えたんだ。

ロンT+スウェットだけでは寒すぎるので、さらに上からパーカーを羽織って朝食の準備。
ラジオの台風情報を聞きながら、そういえば去年の今頃にも大型の台風が発生していたのをぼんやり思い出した。
去年の今頃は、ちょうど仕事の納期と上司のパワハラで苦しめられていた。開発の工数は間に合わないし、人員は足りないし、客先は仕様変更ばかり持ち掛けてきて残業三昧の毎日。そのせいで持病の側弯症が悪化し、曲がった骨が肺を圧迫してきて呼吸が浅くなりつつあった。
おまけに目の前に座っている現場の上司は、わたしの作った設計書をみながら「はーーー…(クソデカため息) なんでこんなのもまともに作れないわけ?!」と、わざとわたしに聞こえるように文句や愚痴を、隣に座っている本社の上司に言いまくっていた。ちなみに上司は黙って「うーん…」と苦笑してるだけだった。
直接ではないにしろ、明らかにパワハラとしか言いようのない発言ばかりだったので、念のためスマホで録音をしようとも思ったけれど、すでに心と体がボロボロになって感情のコントロールもできなくなっていた状態で、そこまでする勇気も気力も体力も残っていなかった。
休職から明けて本社に復帰した後、本社の部長から「現場担当の上司から、あなたが開発に行き詰って病気になったって聞いたんだけど、もしかして開発が苦手だったりする?」と聞かれた時は、体が強張って何も言葉が出てこなかった。同時に、今の会社の人達のすべてを信じられなくなった。部下がその時、何を感じて何を思っていたか本人の口から何も聴こうとしなかったくせに、自分たちの憶測で話を展開していたなんて。

こんな場所にいたら、自分もいつか大切な人の感情や思いを踏みにじるような人間になってしまう。そんなの絶対に嫌だし、知らないうちに他人の人生を台無しにして、後になって気づくような人には死んでもなりたくない。
会社の上司たちは、他の同僚や後輩にとっては優しくて頼りになる人達かもしれない。わたしも新入社員だったころは、分からないことがあって困ってる時は、気軽に上司に声をかけて相談に乗ってもらった。
でもね、人間って「もうだめだ!」って限界まで追い込まれた時にこそ、その人の本性が現れるものなんだよ。
そんな時に限界まで溜まったストレスを怒りの形で他人にぶつけてしまう人って、言い方を変えれば暴力で人を従わせようとしてるのと同じなんだよ。悲しいことに本人はそんな自覚もないし、それが最善策だと思ってるようだけどね。

『人の振り見て我が振り直せ』とは言うけれど、そもそも人を平気で傷つけるような上司から学ぶことなんて何ひとつないし、それどころか本人に何も話を聴かないで事実を勝手に捏造するような人間がいるような会社で働きたくない。

聞くと聴くは、似てるようで全然違う。それが分からない人の下で働くなんて、死んでも嫌だね。
あーあ、はやくアロマテラピー検定に合格して、カウンセリングの技術ももっともっと磨いて、さっさと会社を退職してしまおう。

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