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【Footballの話】FIFAワールドカップQATAR大会雑感(その3 新時代)

4年に一度のフットボールの祭典!
その2 監督編)の公開時点では、日本代表はラウンド16のクロアチア戦の直前でした。(ご存じのように、クロアチアに1-1でPK負け)


ベスト8

 日本代表の試合はもうありませんが、ワールドカップはベスト8が出そろって、これからが面白くなるところです。

 ベスト4まで進むチームは全部で7試合をこなすため、ベスト8に進出するイコール4試合を消化した段階なので、ちょうど中間と言えるのではないでしょうか。

 今大会は異例の11月開催となっていて、秋春制の国ではシーズン中のために好調な選手が多いと言われます。
 そのため、グループリーグでは番狂わせが多かったと言われながらも、徐々に強豪国が実力を発揮してきて、ベスト8の顔ぶれは常連ばかりになりました。
 フランス、イングランド、アルゼンチン、オランダ、クロアチア、ブラジル、ポルトガル。
 サプライズはモロッコだけですね。

優勝争いは?

 ブラジルの期待値が高いですが、ブラジルがベスト16までの格下相手に圧倒的な力の差を見せつけるのは毎回のこと。ヨーロッパの強豪相手には分が悪いでしょう。(12/10追記:ブラジルはクロアチアにPK戦で敗れてベスト8止まり。ブラジルにもベスト4の壁がありますね。)

 優勝の可能性が高いのは、前回大会から完成度が高かったフランスかなと思います。
(12/19追記:決勝戦でフランスは3-3のPK戦でアルゼンチンに敗れました。メッシは2008北京五輪で金メダルを取った世代。ようやく報われましたね。)

 個人的には、長期的な代表強化策が近年成果を上げつつあるイングランドが、そろそろ報われてほしいと思っていますが。
(本記事の公開時点で、準々決勝フランス対イングランド戦の結果は分かっていません。勝ったほうがベスト4です。)
(12/11追記:フランスが2-1でイングランドに勝利。事実上の決勝戦でしたね。)

日本代表の「姿」

 ここでは、理屈ではなく筆者が感じた素直な感想を書きます。

 ドイツ戦とスペイン戦に共通することは、日本代表が三種類の姿を見せたことです。
 前半に強豪国のプレッシャーに耐えている姿。後半にゴール前に迫る姿。そしてリードしてから1点を守り切る姿。
 これらの姿は強豪国と競った試合をしたから見られたわけで、森保もりやす監督が言う「選手たちが新時代を見せてくれた」ことに、素直に同意します。

 主導権を握りに行って失敗したコスタリカ戦でさえも、日ごろ海外でプレーする選手たちが新時代の選手たちに見えました。
 シュートを20本も30本も浴びせても得点できず、1つのミスで失点して負けることは、強豪国にはよくあることですので。
 そして、クロアチア戦の前半で互角に渡り合う姿も、「ああ、強くなったなあ」と思って見ていました。

 しかし、クロアチア戦の後半以降は、何だか平成の日本代表を見ているようなデジャブ(既視感)があったんですよね。
 これは失点したからというわけではなく、パスがつながらなくなってDF吉田やGK権田にまで下げることを繰り返す姿が、です。
 筆者には浅野あさの岡崎おかざきに、三苫みとまいぬいに、鎌田かまだ香川かがわに見えました。

 あえてポジティブに言えば、世界が日本がリスペクトして研究するようになったということになります。
 後半にギアを上げるという日本のやり方を逆にクロアチアがやってきた、さらには研究して三苫を止めてきた、ということ。平成の日本代表ではアジアの舞台でやられていた姿だったので、見たことがある気がしたのです。
 しかし今回はアジアではなく世界が相手ということで、強くなったための生みの苦しみということは言えるかもしれません。

新時代?

 そして今思うこと。新時代の選手と言っても、実は、突出した選手はいないのではないか。

 もちろん、富安とみやすは今現在アーセナルのレギュラーです。南野みなみのはリヴァプールで、堂安どうあんはPSVアイントホーフェンでプレーしたことがある。
 板倉いたくら三苫みとまも、ビッグクラブから声がかかりそうである。そして久保建英くぼ たけふさは、21歳でワールドカップ2試合に出場しました。
 いずれも素晴らしい実績であり、将来性も豊かです。

 しかし、中田英寿なかた ひでとしが21歳のときには日本代表の大黒柱でした。フランス大会直前の親善試合では世界選抜チームの一員になって、バティストゥータにキラーパスを送っていました。
 小野伸二おの しんじは18歳でワールドカップ(フランス大会)に出場して、ただ選ばれただけでなくて流れを変えるジョーカーとしてピッチに立っています。そしてPSVと並ぶオランダの名門ロッテルダム・フェイエノールトに移籍してあっという間にレギュラー、そしてレジェンドになりました。
 ディフェンダーだって、全盛期の井原正巳いはら まさみは(適切な代理人さえいれば)世界のどのビッグクラブでもプレーできたはず。

 やはり、日本に足りないのは突出した選手、今なら例えば孫興慜ソン フンミンではないのか。
 (妻に「そんふんみん知ってる?」と訊いたら「細川ふみえ?」と返ってきました)

 その前にJFA(日本サッカー協会)にも新時代が必要で、世界に照準を合わせないとダメでしょう。
 例えば、藤田俊哉ふじた としやさんに会長になってもらうのはいかがでしょうか。「え、いきなり?」という異論が出るのは分かっていますが、体質を変えるには「いきなりじゃないと意味がない」と思います。
 そして、スペインばかりでなくてドイツやイングランドのリーグ運営や、若手育成そして代表強化プログラムも持ち込んでほしい。

 いずれにせよ、次の会長さんにはまず「日本フットボール協会」に名称を変更して頂きたい。
 「フットボール」か「サッカー」かという件は(その1)でも触れましたが、そもそも「日本サッカー協会」ではおかしい。だって、JFAは、Japan Football Associationなのですから。

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町田 憲昭(歴史研究家/アナログゲーム評論家)
貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。