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【研究室編】イギリス研究滞在で感じた日本との違い



はじめに

私はパーマネントのポジションを運よく得て日本の大学で働く理系研究者です。
現在、イギリスの大学に共同研究を行うために数か月滞在しています。
お給料は日本の大学からもらっている状態です。

文章を書くことも普段の仕事のうちなので、プライベートで文章を書きたいという気持ちがあまりわかなくなっていたのですが、
海外に滞在して、本当は自分はブログを書くのが好きだったな・・・と思いだしたので、備忘録として簡単に書きたいと思います。

写真は、スコットランドの首都エディンバラのフォトスポットで撮影したものです


イギリス研究滞在で感じた日本との違い

(1)PhD studentとポスドクの数

圧倒的にこれです。
日本の大学の研究室は、修士の大学院生で構成されている場合が多いですがイギリスでは博士課程の学生とポスドクによって構成されています。
この違いは研究室構成員の研究へのモチベーションの違いを生みます。

日本の修士の学生は、研究成果を生まなくても修士の学位を取得することができます。
一流大学の研究室だったとしても、修士を卒業するまでに自分の研究内容に関する論文を第一著者としてまとめている人は限られているとおもいます。
むしろ、論文を投稿したことがない修士の学生のほうが多いのではないでしょうか?
なので、結果として指導教員の言う通りに研究を"こなしている"ケースが必然的に多くなります。

一方で、イギリス(欧米圏?)では、博士号取得のため、あるいは自分のポジションを確立するために博士課程の学生、ポクドクたちがモチベーション高く研究しています。
彼らは博士号を取得することで一定のメリットがあることをよく理解しています。

日本における博士号の魅力が十分でない点は、この違いをよく生んでいる気がします


(2)実験室が広い。フリースペースが多い

これは大学によるかもしれません。
ただ、シンプルに居室・実験室が広いです。
「このくらいの空間的ゆとりが必要だよね?」という感覚が違う気がしています。
日本は人口密度の高い過密国家なので、狭い部屋に慣れてしまってるのかなとも感じました。

また、大学の随所に、机といすだけがおかれたフリースペースが沢山あります。
ゆっくり人と人が対話する時間が大切にされている感じがして、私は個人的にすごくいいなと思いました。
私がいる日本の大学では、全くないわけではないですが、なかなかこのようなスペースがありません。。

土地の値段の問題?とも思ったのですが、そういうわけでもない気がしています


(3)研究室のボスたちの積極的な国際交流

日本では、海外の研究室とコラボレーションしたり、国際学会などに参加する意義がそこまで重要に捉えられていない気がします。

私の分野の私が見える範囲においては、だれもが名前を知るようなビッグボスたちは、常に出張しているんじゃないかというくらい海外を飛び回っています。

名を知られるためには、純粋に研究成果が素晴らしいのはもちろんですが、実際に足を運んで、海外の研究者に「存在を認識してもらう」ことが非常に重要なんだなということをひしひし感じました。

日本人が書く論文は、それが英語で書かれた海外雑誌に掲載されたものだとしても、日本人からばかり引用されることがほとんどではないでしょうか?
それは、日本の研究者からは存在は認識されていても、海外の研究者から認識されていないからです。

論文引用数、インパクトの高い雑誌への論文の受理、など「各国の研究力を数値化した場合に使われる指標」を伸ばすためには、国際交流は非常に重要であると感じます。


(4)学生たちで助け合う文化

日本の研究室の方が学生の人数に対する教員の数は多い気がします。
これは日本の大学のメリットです

ただそのせいもあってか、イギリスの大学のほうが学生・ポスドクのメンバーでお互いにディスカッションをしたり、実験手法を教えあう土壌が完全に確立されています。

博士課程の学生、ポスドクの人数が多いと必然的にプロフェッサーの細かい助言なしで、自走しなければならない場面が増えるのだと思います

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