落合監督時代の中日ドラゴンズを知るのに必要不可欠な一冊
週刊文春の連載を一冊にまとめた本。「嫌われた監督」というタイトルが秀逸。それに劣らず、とにかく次を読みたくなる構成力と対象となる選手、コーチの人選と的確な取材力。落合監督が自身の監督時代を語る本と比べても、この本の方がよっぽど内容が濃いし、当時の状況を正確に表している。
さらに、この本を読むと、8年間の落合監督時代以降の中日球団の低迷が必然のようにも感じてしまう。勝利至上主義のもと、1点を守り勝つ野球を志向した結果、若手の不在、年々高まる選手の年俸と伸び悩んだ観客動員数。今の中日はこの時代を否定するかのように全て真逆の志向となっている。もちろん、大島派=星野と白井派=落合という球団の派閥争いからくる志向性の違いや相手側の派閥と逆の方針を採用するというのもある。
が、皮肉にも勝利を放棄しているとまでは言わないが、勝利を優先しないように見える今の中日が落合監督時代よりも観客動員数がいいというのはプロ興行のあるべき姿を実現しているということなのか。
とにかく面白い一冊であり、これ一冊で落合監督時代の全てとはまではいかないが、落合監督時代の中日ドラゴンズを知るのに必要不可欠な一冊と言える。
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