日本郵政のトールHD株式売却、ひどい案件だな
かんぽ問題で揺れまくっていた、日本郵政HD。が、郵便子会社にはとんでもない問題児がいるというのは知る人ぞ知る話。
その名は
オーストラリアを主たる事業活動場所としている、トールHD。
国内の郵便事業がじり貧であった、2015年に買収した会社であり、当時の西室会長(元東芝)の肝いりの案件だったような感じだそうで。この名前でピンと来た人は玄人っぽいですね、そう、東芝で米国の原子力専業会社ウエスティンハウスの買収を先導した人です。
手始めに2017年3月期に減損損失
ということで、買収から2年たってさっそく、のれんと商標権の一部を減損。まあ海外案件は難しいし、え?4000億円?400億円じゃなくて?なんと、買収額が6000億円と巨額も巨額。
この時点でもガバナンス効いているのかは疑問ですが、郵政も郵便子会社も公務員時代のあれが抜けないのでしょうな。こんな体質の会社が公募で一般市民から株式で資金調達をしようとしたわけですから、まずいよね。
その後はどうかというと
2018年3月期から海外物流事業のEBITを追っていくと、18年3月期102億円、19年3月期103億円、20年3月期△86億円と減損前の17年3月期56億円よりは改善しているときもあるものの、買収直前15年6月期のトール社のEBITは379百万豪ドルだから、半減しているという残念な結果に。
いや、オーストラリア経済って、資源価格に依存しているのと、対中輸出の鈍化があったってのは分かるけど、普通は親会社としての指導力とかシナジー効果とかでもう少し業績よくなるか、減損ってまともな会社だったら売却とか精算のシグナルなのだがね。
ここからは情報が手に入らず、妄想も入るが
成熟した市場で成熟した事業の買収で甘めにみて、EBIT300億円の会社があるとして、6000億円も使うか?めちゃくちゃ雑に事業評価をしてみると、300億円÷0.05(割引率-将来成長率)となるわけだが、どうみても高い、高すぎますね。
これは郵政民営化に対するやけくそでやったか、当時の資源価格とオーストラリアの輸出の状況から本当に採算とれるとおもっていたか、上場前だし極秘資料だろうから表には出てこないと思いますが、東芝のWHに並ぶ、ひどい案件だったのではないでしょうか。郵政HDの株主は怒らないのかな?
余計な補足ですが
同じように国営企業からスタートしたJTは海外MAの巧者として有名だし、どういう体制でどれくらいリスク分析をしていたかがとても気になる案件でもありますね。一部野党の方々はこういう責任追及みたいなのはやらないのかな?学術なんたらなんて損する国民はいないのに、こっちは損した人結構いるはずだからさ。