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ビッグ4にテスラが加わっただけという結論

かつては我が世の春だったGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)ですが、昨年末より相次いで大量の人員削減を発表し、その成長に陰りが見え始めています。
テスラもEV車価格の度重なる値下げへの懸念から株価が下落しています。
が、マイナスの要因だけでなく、MSのChatGPTへの出資、メタバースの普及、アップルやアマゾンのヘルスケア事業への進出など、業績が好転する材料も出てきています。

このような背景を受け、本書ではこの先GAFAM+テスラはどうなるのか、その未来を予測します。
また、ByteDance、TCLといったGAFAMらのライバルとなり得る企業の動向についてもあわせて紹介します。

上記のサイトより

著者はかつての著作でこれからはアメリカのテック企業のGAFAに加えて、中国のBATHが世界の覇権を握るみたいなことを言っていたが、そこから数年経った結果がこの本だ。結論としては、当時と今では構図は変わらず、新しくテスラがそこに加わった形になっただけ。

アメリカのビッグテック企業については、それぞれの事情が異なる理由で成長が鈍化し、その一方でテスラの台頭もあり、勢力図が変わりつつある。なのだけど、短期的には広告屋のアルファベットとメタ、AWSで安定的に稼ぐAmazon、市場シェアに比べて利益のシェアが大きいiPhoneを持つApple、事業ポートフォリオのバランスがいいマイクロソフトの構図に変わりようがない。
著者はヘルスケアの領域での事業展開であったり、メタバースだったり、VR/MRの発展というのがこの構図を揺るがすかもと言っているものの、2、3年先くらいだとどうにもならない。特に、メタバースに至っては、2000年代のハンゲームだったり匿名掲示板だったりを体験している身としては、この本に書いてあるZ世代が使っているものとの本質的な違いがないようにしか見えない。
あと、AppleがVRゴーグルをリリースした時がVR元年だともいうが、Appleの製品で市場が成熟化または一定の規模になってから成功したものはiPodとiPhoneくらいで、あのバカ高いゴーグルが普及するとは思えないし、ゲームとしての有用性は認められるけど(Oculus版のビートセイバーは楽しい)、AppleがというかクックCEOが力を入れたいであろう医療や教育ではまだまだこれからというところだ。

また、かつて中国のテック企業群が新しい覇権をとりに来るという話も展開していたが、日本を含む、民主制世界にいる人間にとっては中国のアプリやサービスを使っていいものがほとんどなく、ユーザーが増えないために使い勝手も良くならないので、さらに使う理由がないというのが現実。これからどうやって日本での中国のサービスが増えるのかが予測できないのだけど、かつての主張を取り下げたくないのか、GAFAMに変わるのは中国の企業かもしれないと一行入れるあたりが残念。

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