生成AI元年の一冊と侮ることのできない一冊
2023年といえば、生成AI元年で解説本やら自社のサービスを売りたい本やらとにかくたくさんの本が出たがこれもその一冊。
読み流しても良い前半
前半部分は類似書と重なる部分が多く、読み流しても良いが、チャットGPTを使い方のコツを解説している箇所で、チャットGPTに就活の面接官ロールを指示して、模擬面談をやってみるというのは面白かった。本来、スマートスピーカーがこういう役割を担うのだろうなと思っていたのだけど、思ったよりも普及しなかったこともあり、これはチャットGPTの独壇場になりそうである。
アメリカのビッグテック企業の動向
本書ではアメリカのビックテック企業の動きに触れている。構図としては、Open AIとマイクロソフトの連合対Googleが市場の覇権争い、その裏でサーバーとセットでBtoCに集中しているAmazonと、相変わらず何をやっても嫌われるメタとなっている。アメリカ公聴会でのOpen AIの扱いとメタの扱いが全く違うものになったというのもその絵が思い浮かんでしまう。
生成AI時代の課題
また、本書を読み終わった後、生成AI時代の課題をどう解決するかを考えるということも重要だ。例えば、AIにより失われる職業問題。AIは大半の仕事を代替できるので、失業問題に社会としてどう対応するかは重要な課題である。また、生成AIに必須のGPUは電力消費量が膨大すぎるが、どう電力を確保するのかという点。さらに、「再帰の呪い」といわれるAIによる自己反復問題。すでにSNSでは起きている現状だが、間違った言説がひたすら反復されて歯止めが効かないという点は人類全体の課題である。
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