授業ネタとネタ話「留学中の私を支えた言葉」
コロナの影響が拡大し、健康面だけでなく人種差別など、その他の問題も懸念されてきているので、今後しばらく留学や海外旅行は減ってしまうかもしれません。しかし、すぐに、でなくてもやはり若い世代の人々には海外に行ってほしいし、特に教員を目指す人にはぜひ色んな経験をしてほしい気持ちが強くあります。今後の投稿で、なぜそう思うのか、自分の経験や留学エピソードを交えながら記録を残していこうと思いますが、今回の投稿はまず、留学中の人や留学を目指す人にどうしても伝えたい話です。
英語が上手でないから聴こうと思うだろ?
留学して最初か2回目の授業だったと思います。その日の授業担当だった教授の言葉は、私にその後の大学院生活を生き延びる力を与えてくれました。教授のお話しはこんな内容でした。
「授業では君たちには静かに聞いてもらうだけでなく、お互いに意見を言ったり、プレゼンをしたりしてもらうよ。このクラスはイギリス人も、アメリカ人も、留学生も沢山いるね。英語が母語じゃない人、英語が下手だと思っている人は心配するかもしれない。でも大丈夫だよ。英語が母語でない留学生はそれだけで有利なんだ。」
次の先生の言葉は、私にとっては新たな考え方でした。
「だって、母語以外の言語で一生懸命に話している人の話って、それだけで聞こうって思うでしょ?」
たしかに、テレビなどで外国人観光客が日本語で話しているのを見る時、たとえそれが拙い日本語だったり、不自然な日本語だったとしても、相手が一生懸命話していれば、自然と意味をくみ取ろうとするし、文法的な間違いはあまり気にならない人が多いかと思います。
「誰かが慣れない言語で一生懸命話そうとすると、それだけで聞き手側は暖かい気持ちになるんだよ」
逆の立場で考えれば、それほど驚くべきことでもないのですが、留学したての私は肩に力が入って、緊張して、相手に伝わらない不安ばかりに目がいってしまっていました。もちろん教授の言葉ですぐに自分のコミュニケーション能力が向上したわけではありません。でも、授業中に発言する前やプレゼンの前に、私は意識的に教授のこの言葉を自分に言い聞かせていました。すると、1年間の留学期間ではあったけれど、少しずつ授業でも発言できるようになったし、プレゼンも緊張しつつも自分の理想に近い形で出来る様になりました。
もちろん流暢に話せるに越したことはないし、実際には、自分の言いたいことが伝わっていないな、と実感する場面は多々ありました。
理想に近づくためには場数を踏んで、メンタルを強くしてとにかく練習をするしかないのですが、教授の言葉には、もう一つ大事なアドバイスが含まれていたと思います。それは「視点を変えれば不利と思えることも有利なことになりえる」ということです。
きっと、留学を目指す人、目指している人の中には同じような不安を感じている人がいると思います。そんな人たちに、留学中の私をずっと支えてくれたこの言葉を知ってもらいたいのです。
流暢に話せなくても大丈夫。 たどたどしいからこそ、聞いてもらえることもあります。
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