英会話学習を難しくしている根本的な理由
英語を話したいほとんどの人にとって、ペラペラになるのを難しくしているのは、何が原因なのだろうか?
なぜ中学、高校と英語を学び、大学に行った人はそこでも学んだのにペラペラにならないのだろうか?
なぜ他のアジアの国の人たちは、ある程度英語を話せる人は多いのに、日本人はそうでないのだろうか?
なぜ、こんなにもたくさんの人たちがたくさんのお金を英会話に投資しているのに、結果が出ないのだろうか?
これらの理由はいくつかある。
僕も多分にもれず、小学校の5年生から塾で英語を勉強し、中学、高校、そして大学でも英語を勉強してきて日常会話はできるつもりになっていたのだが、大学卒業後シアトルに留学した時、全然話せないし、聞けないことに愕然とした。
そして試行錯誤の上話せるようになった後わかったことがある。
多くの人が英会話を勉強してもペラペラにならないのは、
次の二つの理由が主だということである。
1 マネをしていない。
2 必要に迫られていない。
1 マネをしていない。
モデリングという言葉を聞いたことがあるだろうか。 NLPが発展した一番の理由はモデリングにあるのだが
モデリングとは、ズバリ出来る人のマネをすることだ。 日本でも昔から学ぶことはマネぶことであるとされてきたくらい
重要なことである。
なぜ、達人はうまく出来るのに、凡人はうまくできないのか?、その違いはどこにあるのかと探っていき、結果にダイレクトに影響する違いを見つけたら、それを抽出して出来ない人に教えられるようにするものだ。
何かがスゴイ出来る人を見ると、あの人は天才だから、特別だからとすぐに思考停止になってしまいがちだが、NLPでは、同じ人間なんだから出来るはずだと考え、何が違うのか、どうすれば出来るようになるのかと分析する。
なので英会話ではもちろんネイティブをマネる。
我々が学校で英会話を勉強する場合、日本語にいつも訳して理解する。
例えば目の前に赤くて丸い甘酸っぱい匂いのする物体を見た場合、まず頭の中で日本語でこれはりんごだ、と文章を作り、それを英語に訳して
This is an apple.とやる。聞き取りの時は、その逆で、英語を聞いて、日本語に直し、その赤い物体を認識する。
しかしそれをすると聞き取りにも話すにも致命的なタイムラグが生じる。会話にはとても間に合わなくなる。
ではどうやって練習するのか?
自分が日本語を話すようになったのを考えて欲しい。何かの言葉で訳しながら勉強したのではないはずだ。
なので僕は、幼児が言葉を学ぶのをマネて、ネイティブをマネた。
具体的に僕がやっていたのは、とにかく目の前に映ったものの英単語を幼児のように口に出し、わからないものは、すぐに調べるか、聞いていた。 そうすることによって、何か物を見たときに英語の単語にすぐ結びつくし、口に出すことによって、耳からもその音と物体が結びつく。
そしてオーディオブックを図書館で借りてきて、車を運転している時などに流し、読み手の話したすぐ後にマネしてリピートしていた。
これをシャドウイングと呼ぶそうだが、早すぎて内容を完全には理解できていなかったとしてもプロのネイティブの話し方やセンスのある語彙が自然と身につくようになった。英会話を学んでいる人にはこれをぜひやっていただきたい。 かなり結果が出る。
いきなりネイティブのオーディオブックは敷居が高いと言う人もいると思うので、それにはNHKの基礎英語がオススメだ。簡単な文章でも録音された文をただひたすら幼児のようにリピートする。 そうすることによって、文法的に何も勉強しなくても正確な文章が口から出るようになる。
多くの習い事で言えることだが、一流の人のやり方をずっと真似してリピートしているだけで、何も考えなくても、正しいことをやっていることになる。逆に一流をそのまま真似をしないで、また聴きの技術をそれほどできるわけではない人から習ってもできるようにはならないし間違いやすい。
余談ではあるがあのダウンタウンも下積み時代はひたすら紳助竜介のテープをシャドウイングしていたそうだ。
ただひたすらマネるというやり方が浸透しないのは、簡単すぎて信じられないのと、ビジネスとしては儲からないからであろう。ステップに分け、学問として体系づけるようにすれば教える側が課金しやすいからだ。
僕はこのマネぶというやり方で、中国語も話せるようになった。 中国語は、漢字なのでとっつきやすく、高校のとき漢文が得意だった人は、勉強しなくても読めるようになってしまうのであるが、発音が難しいので、聞いてもわからないし、話してもなかなか伝わらない。
そこで、簡単でわかりやすい台湾の映画(香港映画は北京語ではなく広東語)を見つけて字幕をつけてシャドウイングすることによって単語そのものが持つイメージや意味が日本語も英語も介さず脳に入ってくるようになった。
例えば、中国語学習者あるあるだと思うが、めんどくさくて煩雑なものを感じたら、麻烦(マーファンと読む)とつい口ずさんでしまうということがよくある。 めんどくさいとかtroublesomeなどの単語よりさらにその感情を正確に表せている感じがするからだ。
2 必要に迫られない。
日本で生活していると、全く英語が必要ないといってもいい。 外国人に道を尋ねられても英語の情報をネットで検索するときも、グーグル翻訳がある。 僕自身、長い文章を翻訳しなければならない時はグーグル翻訳を使った後に自分で推敲している。AIが発達している現在では今後語学だけで食べていくのは難しくなると思えるくらい日本では英語を学ぶ必要がない。
そうなると英語を話そうというモチベーションが弱くなってしまい、シャドウイングのような麻烦なことはやりたくないだろう。 ゴールにたどり着くためのWエンジンという記事を以前に書いたが、やらないとやばいというのと、やったらすげーという二つの力が働かないとなかなか何かをえる努力を継続することはできない。
しかし他の国の人々、特にアジアの人たちは英会話を貪欲に勉強し習得している。 英語ができることによって、格段に収入が上がるからだ。自国の人を相手にする商売より、外国人相手の方が多く稼げる場合がほとんどなので、若者は皆躍起になって英会話を勉強している。
日本人であっても、一歩日本の外に出ると、英語が話せない場合、ビジネスでは不便を感じるはずだし、旅行であるとその経験が限定されたものとなってしまう。
グーグル翻訳を使ってロマンティックな話をすることや、白熱した議論を交わすことは至難の技である。利害関係がある場合を除いて、海外では英語が話せないというだけで、文字どおり幼児のような存在になってしまい、頭の中では色々知っているだけにフラストレーションが溜まりまくってしまう。
なので、英会話を習得したい方には、習得しないとやばくて、習得したら最高だという状況を作っていただきたい。
例えば、外国から商品を仕入れて、ヤフオクで売ってみたりすればより伝わる英語の言い回しを研究するようになるし、旅行も友人たちといくのではなく、ひとり旅にして、数人一部屋のドミトリー形式の宿に泊まったりすれば友人ができるだろうし、さらに恋に発展するかもしれない。
恋人にどうしても伝えたいことがあればたくさん努力するし、恋人の言葉を理解するために一層リスニングに集中するようになる。
僕は学生時代、英語があまりうまく話せなかった頃にフィジーの人と付き合ったことがあった。結果からいうと最後に思いっきりフラれたのであるが、言われた言葉の中で、今でも思い出すのは、I am wrong presence for you. という言葉で、がっかりするようなことを言われているのはわかっていたがpresenceという単語の意味が当時全然わからないかった。 なので、この単語の例文を調べまくって、なんとか腑におちるまで考え抜いた。 この文章を理解できるかできないかがこの人との関係に大きな影響を与えると思ったからだ。 なのでこの単語に関係する言葉はネイティブに劣らないくらい今でも身についている。
そして今僕は、スペイン語を勉強していてスクールにもいったほどだが一向に身につかないし話せない。 これといって習得しないとまずいということもなければ習得すればすげーということもないからだ。 スペインや中米を旅行しても、本当に話したいなーと思える人と出会うと、英語ができる人だったりするということがほとんどであるからでもある。
まとめ
NLPの創始者の一人ジョングリンダーがイタリアの全ての2歳児はイタリア語が話せる、言葉を学ぶのは難しいことではないはずだと言っていたが、その通りだと思う。 英会話は勉強として学ぶのではなく、ただネイティブを真似ればいいのだ。 映画の台本を学ぶように、その場面場面に応じた役を演じるようにマネしきれば、話していることになる。
そして、英語を話せないとまずいという環境に自分の身をできるだけ置くようにして、英語を話せたら最高だよなーと思うような出会いをたくさんすれば英会話習得の強烈な動機が作られるはずだ。 そうすれば誰でもペラペラになれるはずである。