"Five score years ago" は何年前?
こんにちは。
今回のトピックは”Five score years ago”という表現とそれにまつわるエピソードについてです。
以前”I Have a Dream”の演説を授業で扱った際に動画を見返していたのですが、そこで見つけたのがタイトルの表現です。(動画の38秒頃)
five score years ago?
5スコア年前?
数えること5年ってこと?
scoreって得点とか成績って意味以外あったっけ?
そんなことを疑問に思いALTに聞いてみたところ、この表現の謎だけでなく”score”の様々な使い方まで教えて下さったので紹介したいと思います。
Scoreは数を表す単語でもある!
結論から言うとscoreには20という意味があります。
つまり”Five score years ago”というのは「5×20年前」で「100年前」ということになります。
英語にはあるまとまった数を表す単語があり、例えばdecade「10年間」やdozen「1ダース、12個」などがあります。
これらと同様にscoreには20人や20個といった意味があります。
しかしscoreがこの意味で使われている文を見たことはあまりないのではないでしょうか?
私は今回が初めてであり、ネイティブとの会話では普通に使われているのか。気になりALTにきいてみたのですが、どうやら現在このような使い方はほとんどされないようです。
ではキング牧師は何故このような表現をわざわざ用いたのでしょうか?
その答えはALTがすぐに教えてくれました。
ゲティスバーグ演説
「Gettysburg addressを調べて見なさい」というのがその答えでした。
Gettysburg addressとはアメリカ合衆国代16代大統領であるエイブラハム・リンカーンによる演説のことです。
ゲティスバーグ演説は南北戦争の最大の戦いであったゲティスバーグの戦いでの戦没者を悼むとともに、アメリカ合衆国の自由と平等を訴えるものでもあります。
この演説は”Four score and seven years ago~”から始まります。
この場合「4×20+7年前」なので「87年前」という意味になり、この演説が行われた1863年の87年前である1776年、アメリカの独立が宣言された年のことを指しています。
特に最後の
“-and that government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.”
(そして、人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために、われわれ がここで固く決意することである。)
の部分が有名だと思います。
そしてリンカーン大統領といえばもう1つ、「奴隷解放宣言」でも有名です。
この宣言は(その実はさておき)アメリカにおける黒人の自由を認める最初の一歩になりました。
※リンカーン大統領と奴隷解放宣言についてはこちらの動画が興味深かったので参考までに。
そこでキング牧師はリンカーン大統領による奴隷解放宣言から100年経ってもなお、その自由が認められないままであるということを強調するために、このゲティスバーグ演説の冒頭の表現を引用したという訳です。
演説場所もワシントンD.C.にあるリンカーン記念館の前で行われるなど意識されています。
リンカーン大統領が”Four score years and seven years ago-“と87年前の独立宣言を称え、キング牧師は”Five score years ago-“と100年前の奴隷解放宣言を称えたということになります。
ヨーロッパやアメリカの演説に見られる先人の演説や功績の引用ってオシャレで教養を感じますよね。
その他のScoreの使い方
他にもScoreには以下のような使い方があるよ、と教えてくださいました。
例:会議中席を外した上司が戻ってきて一言。
What is the score? (で、結果は?)
≒What is the result?
例:功績を挙げた、あるいは何かを成し得た人に対して一言。
You scored! (よくやったね!)
≒You succeeded!
≒Congratulations!
以上のように「得点、点数、成績」など普段の見かける用法以外にも色々な使い方があるそうです。
辞書でも調べて見ましたがこれ以外にもさらに多くの用法がありましたので気になる方は是非調べて見てください!