Antichrist Siege Machine - Vegeance of Eternal Fire
アメリカはヴァージニア州リッチモンドのR.Z.(Vo,Gt)とS.B.(Vo,Dr)からなるウォーブラック/デスメタル・ユニットによる2024年3rdフルアルバム。
鬼気迫る邪悪さと破壊的なサウンド、ジャケットとバンド名からも想像ができる反キリスト思想を前面に打ち出したあっという間の全10曲25分。暴力と混沌の旗を掲げアンダーグラウンドシーンでは既に前作から話題で、数多くのフェスへの出演やEmperorのサポートアクトにも参加し、今や知る人ぞ知るバンドへと進化を続けている。
驚いたのがこの凄まじいテクニックで殆どの楽曲をドラムがヴォーカルを務め、ライブではそのクオリティと勢いを落とすことなくサポートメンバーも入れずに2人で成し遂げてしまうところに圧巻してしまった。
BlasphemyやConquerorのような表現として意図的に音質を落としたかのようなローファイ感や重い鈍器で殴られるような衝撃や鋭い刃物のような狂気とは別の血生臭さが漂い、こちらはマシンガンやミサイルといった銃火器での爆撃、容赦のない鼓膜への無慈悲な音による暴力といったところは聴いていて気持ちいいほどの勢いがある。
個人的には2024年上半期にリリースされた作品の中でもベストに食い込むぐらいにクオリティが高いアルバムだ。
とりあえず先入観は捨てヘッドホンでもスピーカーでもいいので出来るだけボリュームを上げて聴いていただきたい。そうすれば彼らの憤怒の矛先はもうあなたの耳のすぐそこまで迫ってきていることだろう。そしてそれは次第に伝染していくように彼らとともに怒りの行進を続けることとなる。目に見えないものなんて信じてはいけない。聖書は燃やせ、神や仏、キリストなんてものはそこには絶対にいないのだから。
そう聴こえてはこないだろうか。