ねこざわ

メタルと猫。

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最近の記事

Chat Pile - Cool World

アメリカはオクラホマ州の4人組スラッジ/ノイズ・ロックバンドの2枚目。バンド名の由来はオクラホマ州にある有毒廃棄物の山の名からとられたという。オクラホマ州は天然ガス、石油、農業の生産性が高く、バイオテクノロジーに経済の基盤がある。紛れもなく彼らが過ごしてきたであろう環境が音楽に与えている影響は大きく、それは工場で聴こえてくる機械音のようにジャンクなものだ。1stアルバムは故スティーヴ・アルビニ氏がプロデュースし、音楽メディアでも軒並み評価されてきた。前作はスラッジ・メタルのT

    • Undeath - More Insane

      アメリカはニューヨークの5人組デスメタル・バンドの3枚目。2018年結成。 私が今年リリースを楽しみにしていたメタル・アルバムのひとつで、彼らの音楽は私が知るオールドスクール・デスメタル・リヴァイバルの中でも最も個性的な演奏をするバンドのひとつだ。 王道ではあるがギターリフはとにかく耳に残るし、ヘヴィではあるがどこかキャッチーな聴きやすさを残しておりメタル・バンドとしての面白さ(ユーモア)を実感する作品である。まだ結成して間もないながらも過去2作のスタジオ・アルバムも評価が非

      • Blood Incantation - Absolute Elsewhere

        USはコロラド州のデスメタル・バンドによる2024年待望の3rdアルバム。 前作のEPがアンビエント作品だったのでデスメタルからの脱却の不安も少々あったがそんな不安を完全に取っ払い、メタル史に残るような新たな名盤の誕生だと言い切っても過言にはならないだろう。 本作は#1 The Stargateと#2 The Messageの2曲を3部ずつに分けた構成となっている。(サブスクだと6曲に分けられている)こういう1曲の尺が長かったりすると私はどうも最後まで聴けるかどうか身構えて

        • Ascended Dead - Evenfall Of The Apocalypse

          USはサンディエゴ出身の4人組デスメタルバンドによる2023年2ndアルバム。20 Back Spinより。まさにドス黒いジャケットような重々しい音を響かせてくれるOSDMなのだが、もうちょっと話題になってもいいのではないかと個人的に思う作品だ。 デスメタルといってもウォー・ブラックを通過したMorbid Angelをさらに狂気に近づけたかのようでもあり、Pissgraveのような隙を与えない演奏はここ最近のデスメタル界隈の中でもひとつ頭を抜きん出ている。 燃える黒い炎の中

          Depressive Silence - Ⅲ Mourning

          Depressive SilenceはドイツのRALとB.S.なる人物から1994年に結成されたダンジョンシンセ・プロジェクトによる3枚目の作品。(オリジナル盤は"Ⅱ"というタイトルが使われている為、当時は2枚目という扱いだったのかもしれない) 私が所持しているのはリマスター盤(2024年)といわれているものなのだが、おそらくはリマスターではなく、再レコーディングされていると思われる。彼らの作品はEPのみでアルバムとしてリリースしているものはないのだが、その中でもカルト的に名

          Depressive Silence - Ⅲ Mourning

          200 Stab Wounds - Manual Manic Procedures

          アメリカはオハイオ州クリーヴランドの4人組によるデスメタル・バンドによる2024年2ndアルバム。サウンドはジャケット通り期待を裏切らないオールドスクールなゴア・デスメタル。どことなくCannibal CorpseやAutopsyからの影響も感じるのだが、怪しげなSEやギターフレーズを随所に入れてくるのでこちらはほんのりスパイスが効いている感じだ。だがスラミングで横ノリも聴かせてくれる展開としっかりテクニックも魅せてくれるギターソロに鋭利なチョーキングとトレモロアーミング、ど

          200 Stab Wounds - Manual Manic Procedures

          Blood Incantation - Timewave Zero

          USはコロラド州の4人組デスメタル・バンドによる2022年作品。(ボリュームはフルレングスだがEPという位置付け) 現行のデスメタル・バンドだが今作はVo、Gt、Ba、Dr無しの全編アナログ・シンセサイザーのみを使用した完全なるアンビエント作品。 多分純粋なデスメタル・サウンドを期待していたファンは困惑したはず。収録曲は#01 IOと#02 EAの本編2部構成と、フィジカルで聴けるボーナストラックの#03 Chronophagiaの全3曲となっており、トータルタイムは60分ほ

          Blood Incantation - Timewave Zero

          Tomb Mold - The Enduring Spirit

          カナダはトロントの3人組による2023年4thアルバム。今作はPitchforkでもBEST NEW MUSICを獲得し、一気にメタル界隈の枠を飛び越えてその名を知られることになった。 前作のPlanetary Clairvoyance(2019)もメタル界隈ではかなり評価が高いアルバムで、重く暗いドロドロとした空気もデスメタルの王道を通っており素晴らしかったのだが、一転して今作では随所でいくらかメロディアスでプログレッシヴなサウンドも多く垣間見られこれはギターのDerric

          Tomb Mold - The Enduring Spirit

          Fulci - Duck Face Killings

          イタリアのブルータル・デスメタル・バンドによる2024年4thアルバム。Fulciはイタリアのホラー映画の巨匠Lucio Fulciにインスパイアを受けて2013年に結成され、数多くの作品を残す彼の映画の中で本作は1982年のサスペンス・ホラー『ザ・リッパー』へのオマージュとして製作されたアルバム。 随所に散りばめられてるホラー映画さながらの怪しげでB級ホラー味を感じさせるシンセサイザーがアルバム全体の良い雰囲気を醸し出しており、今のデスメタル・シーンの中ではコンセプトもは

          Fulci - Duck Face Killings

          Antichrist Siege Machine - Vegeance of Eternal Fire

          アメリカはヴァージニア州リッチモンドのR.Z.(Vo,Gt)とS.B.(Vo,Dr)からなるウォーブラック/デスメタル・ユニットによる2024年3rdフルアルバム。 鬼気迫る邪悪さと破壊的なサウンド、ジャケットとバンド名からも想像ができる反キリスト思想を前面に打ち出したあっという間の全10曲25分。暴力と混沌の旗を掲げアンダーグラウンドシーンでは既に前作から話題で、数多くのフェスへの出演やEmperorのサポートアクトにも参加し、今や知る人ぞ知るバンドへと進化を続けている。

          Antichrist Siege Machine - Vegeance of Eternal Fire

          Houkago Grind Time - Bakyunsified (Moe to the Gore)

          台湾からアメリカへ移住したアジア系アメリカ人のAndrew Lee氏によるひとりグラインドコア2020年1st。彼はRipped To Shredsというオールドスクール・デスメタルバンドのメンバーでもある。 もしも、放課後ティータイムがグラインドコアに目覚めていたら…というカワイイと激しさを共存させたBABYMETALのようなポップなものではないことはこのジャケットを見ればなんとなく分かるだろう…。シュールかつツッコミどころが満載ではあるが、ジャパニーズ・アニメへの愛とグラ

          Houkago Grind Time - Bakyunsified (Moe to the Gore)

          Dawn Ray'd - To Know The Light

          UKのリヴァプールで結成された3ピース・ブラック・メタル・バンドによる2023年にリリースされた3枚目にしてラストアルバム。 純粋なブラック・メタルを軸にしつつヴァイオリンが奏でるフォーク的な要素とのバランスが絶妙で、アトモスフェリックな雰囲気の中に怒りをぶつけ、今の世の中へ一貫して反ファシズムを掲げながら叫び訴えかけてきた彼らはこのアルバムリリース後に突如解散してしまう。 同じ政治的メッセージを訴えかけてきた中で代表的なバンドだとRage Against The Mach

          Dawn Ray'd - To Know The Light

          Sadness - I Want to Be There

          アメリカはイリノイ州のDamian Ojedaによるポスト・ブラックメタル/ソロ・プロジェクトによる2019年作。 このバンドは作品のリリース数がかなり多く、もはやこのアルバム(もしくはEP)が何枚目に数えられているのかも分からない。彼女の情報を調べてみてもこのシンプルなバンド名のせいか同名バンドと混在して出てくるので本当に謎が多い。しかしこの作品が音楽好きの間でカルト的な人気を誇っており、中でも収録曲の#2 I Want to Be With Youがポスト・ブラックメタル

          Sadness - I Want to Be There

          Pissgrave - Posthumous Humiliation

          アメリカはフィラデルフィアにて2013年に結成されたデスメタル・バンドによる2019年リリースの2枚目。オリジナルのジャケットは結構なグロテスクなので念の為に自主規制。(調べればすぐに出てくるので耐性がある人はご覧あれ) ただ、彼らの世界観を知る上でもその衝撃的なジャケットは一度見ておくべきかもしれない。 説明をしておくと、交通事故で顔がグチャグチャになった遺体の顔写真をジャケットにしており、実際見ても現実味がほとんど無くてコラ画像か造りものなんじゃないかと思ったのだがどうや

          Pissgrave - Posthumous Humiliation

          Black Country, New Road - For the first time

          イギリスはサウスロンドンを拠点に活動する7人組バンドによるデビューアルバム。これまでイギリスで行ったライヴは全てソールドアウト、Sonic Youthのキム・ゴードンや私が大好きなRadioheadのエド・オブライエンが「既に自分たちの音楽を確立している」と賛辞を贈るほどの大型新人だ。最近だとBlack midiやDry Cleaning、Squidなどイギリスの新人バンド(特にポスト・パンク)が注目されている中の一角で名前が挙げられ、メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ド

          Black Country, New Road - For the first time

          Green-House - Music for Living Space

          吉村弘や芦川聡、INOYAMALANDなどここ最近の日本の環境音楽やニューエイジ/アンビエントの再熱で熱心な音楽ファンが盛り上がりをみせていたのが2年前の2019年から2020年頃。名盤の再発も落ち着いてきたところでロサンゼルスからの回答とでもいうべきだろうか。人間と自然を調和させるOlive Ardizoniによるソロ・プロジェクト、Green-Houseによる1stアルバム。正直なところ、この作品に革新的な何かや新しいものを期待しているのならばそれは少し違うかもしれない。

          Green-House - Music for Living Space