感情が渦巻く場所

　ほろ酔いで電車に揺られている。文章を考えているような、乗車している人の気持ちを考えているような。
　一人ひとり表情が豊かで、ご機嫌に携帯を触っている人もいれば、ただただ暗い顔で景色を眺めている人もいる。何か良い事があったのだろうか。はたまた嫌な事があったのだろうか。結論がでない想像を膨らませている。
　でも、一つ確実に合っている自信があることがある。それは、電車に乗っている大半の人には目的地があるということだ。幸せな感情、辛い感情、この車内には様々な感情があるだろうが、みんなどこかを目指している。僕は、そのどこかを目指している事がとても素敵なことなのではと考えてしまう。そんな僕も、家に帰れば愛しの猫に食事を用意して、水を変えて、トイレを綺麗にすることを楽しみにしている。
　電車に乗る機会は確実に減っている。でも感情が渦巻く身近な環境が電車だと考えると、苦手ではあるが好きな場所にできる気もする。