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時からの解放

 時間を決めずにやりたい事だけをやってみた。天気が悪いのに洗濯をしてみたり、すぐ汚されるのに猫グッズの掃除をしてみたり、一瞬しか保たれないのに作家のあいうえお順で本棚を整理してみたりだ。
 僕の家には掛け時計のような、そこを見れば時間が分かる類の時計がない。時間を知るためには携帯などを見る必要がある。そしてその日の僕は、携帯を見ないと決めていた。
 時から解放された僕は、一つひとつの作業をゆっくりと行った。誰の基準でもなく、僕の基準で僕が納得するまで。あまりにも普通の体験だが、普段、いかに質より時間を優先して仕事をしているのかに気がついた。もちろんこれからも仕事では、約束の時間までに求められた事をすることに変わりはないが、プライベートでは、こんな過ごし方もありかもと思ってしまう。
 お腹の空き具合や太陽の傾き、空の色の変化で時間を予想をする。時計を見ないだけで『時間デトックス』になった。

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