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zou6mr
黄色信号とか、グレーゾーンとか、行間とか…
「黄色信号は渡る派?」
ふいに友人から聞かれた。急いでいる時は走って渡るが、急いでいても小さな子どもが止まっていたら、教育上良くないので渡らない時もある。もし僕のせいで、急いでいる時、黄色信号は走って渡れるものと覚えてしまったら大変だ。黄色信号はたしか『注意して渡る』のはず。走っている時は注意力は散漫になってしまう。
「時と場合による気がする」
僕がそう応えると友人はあからさまにつまらなさそう顔をした。どうやら期待外れの回答だったようだ。
「俺は絶対渡らない。グレーゾーンとかも大嫌いだ。白黒をはっきりさせたい」
煮え切らないことでもあったのだろうか。ここまで断言できる友人が羨ましい。友人の不満をよそに、僕の頭に浮かんだのは『行間』という言葉だ。
小説は行間があるから、様々な解釈が生まれて様々な楽しみ方を提供してくれている。そんなことを友人の愚痴をBGMにしながら、僕は考えていた。