さかさ
6月、無計画に有給をとった。会社の誰かが「今月は祝日がないから辛い」と言った。カレンダーを見ると確かに6月の平日に赤い数字はない。隣の5月にはある。何もないが、明日の有給申請を出した。辛いの伝染だ。
普通すぎる平日で、普通にいつもと同じ時間に起きてしまった。外からは、雨の音が聞こえる。無計画な休暇の罰だろうか。それともただの梅雨だろうか。選択肢から外出が消えてしまった。なぜなら、僕は今、傘を持っていない。多分どこかのお店か駅にあると思う。考えるのが面倒だ。休日最高の過ごし方は、二度寝だと信じよう。
空腹で目が覚める。仕方ない。外に出るか。コンビニまでは徒歩1分。傘がなくても大丈夫。外に出ると青空が広がっていた。向かいの家には、広げられた傘が逆さまに並べられている。
「逆傘」さかかさ?いや、さかさかな。我ながらくだらないことを思いついたものだ。
ほんの少しだけ、晴れやかな気持ちになった。