綺麗になって思い出が消えてゆく
私の大好きな映画館が休館する話。
遡って高校1年生の夏も終わる頃、ひとりの世界の開拓に没頭してた。
学校に行くよりこうしてる方が楽しいから、授業をサボっては、音楽や映画や小説を掘って、掘って、掘りまくる生活をしていたの。
ひとりでライブハウスや映画館に行くのは今じゃもう当たり前だけど、当時の優越感は何にも変えられなかった。今となっては、当時の私は完全に「周りと違う趣味、その良さは私しか知らない!病」だったよね(笑)
そこでたまたま出逢ったのが阿佐ヶ谷ユジク。
どうしても学校に行きたくない時は、逃げるようにここ来て知らない映画を観た。
ユジクに行ってなかったらきっと、フランス映画もチェコ映画も観ることなかったし、観たいと思うことも無かっただろうなぁ。ずっと有名な映画ばかりを観てた私にカルトの世界を教えてくれた。ユジクがきっかけで、大好きになった。
一番教えてもらったことは、「"大衆"を知ること。"大衆ありきのサブカルチャー"を知ること。
それで初めてどっちの良さにも気づける。」ということ。
偏っちゃいけないんだよ。
街は人の想い関係なしに、都市化されてゆく。
東京タワーの蝋人形館も、
宮下公園も、
イッツ・ア・スモール・ワールドも、
としまえんも。
たくさんの思い出を背負ってるものを、簡単に綺麗に変えてしまう。
私を育ててくれた景色があっけなく綺麗にされてゆくのはすごく悲しい、寂しい。
私の思い出、もう何処も消えてしまわないで。
ユジク、いつかまた行ける日を願っています。