[研究室ゼミ] 研究テーマ交換プレゼン
ようやく複数回実施して、良さ整理できてきたので改めて(過去の記事はこちら)。
学生さんの様子を見ていると、自身の研究について、そのアイディアを思いついて取り組み始めたときにはオモシロイと思っていたのに、徐々に「あれ?これなにが面白いんだろう」と思ってしまいがちのように思います。また、研究について何度も語っていると、このテーマについて初めて聞くひとの気持ちがだんだんわからなくなり、導入の重要なところを飛ばして説明するようになってしまって、結果的に納得性の低いものになっていたりします。さらに、発表などではついつい自分が苦労したところを重点的に喋りがちで、本当に面白いところを伝えることができてなかったりします。
こういう問題を改善するため、研究テーマ交換プレゼンというのをやっています。
目的
他者に自分の研究をプレゼンしてもらうことによって、自分の研究テーマを客観視し、どこが面白いかを再確認するとともに、どこをどう伝えたらよいかを理解できるようにするため。また、序盤をどう説明するとわかりやすくなるか、どういった情報が欠落しているかを理解できるようにするため。
裏の目的として、他者の研究をプレゼンするときにどんな説明(具体例など)を入れていくと、面白くわかりやすくなるだろうと考え、工夫する力をつけてもらうため。
実施方法
ペアになって、お互いの研究テーマを交換する。過去のスライドや資料などは共有しあい、必要なものを使えるようにし、3時間で5分のプレゼンを用意し、みんなの前で5分でプレゼンしてもらう。質疑はなしで、プレゼンに対するコメントをScrapboxに残すようにする。
ポイントは論文紹介で他者の研究を紹介するような感じではなく、自分の研究であるかのようにプレゼンすること。
時間に余裕があれば、その後1時間程度使って自身の研究のプレゼンを一から作り直し、他の人にプレゼンをする。
効果
ひとに自分の研究をプレゼンしてもらうと、特に序盤の説明について「この説明ちゃんとしなきゃだめだったか」とか、「ああ、ここをこんな感じで説明したらわかりやすいのか」とわかるだけでなく、「ここってこんな感じで飛ばしてもいいんだ」という理解に繋がります。また、「こんな感じで結果を見せればわかりやすいんだ!」という気づきにも繋がります。さらに、研究の背景などを説明するときの、そのひとならではの具体例が出てきて、とてもわかりやすくなったりして、それネタとして使わせて!と採用されたりします。
これまでやってきた印象として、研究交換プレゼンをすると、その交換したひとの研究目的までの説明がかなりわかりやすいことが多く、それが本人のプレゼンもよりよくしている感じがします。
最初にも書きましたが、まだ研究歴が浅い学生さんは、研究の過程であれがうまくいかない、これがうまくいかないと色々悩みを抱えがちですし、ミーティングや学会発表などで色々問題を指摘されるため、何が面白いかわからなくなってることってあるあるな話なのだと思います。また、プレゼンの際に過去のスライドをコピペしたり参照しつつ作成することも多く、つぎはぎになってしまって、背景や問題、目的に関する説明にねじれが生じていることもあります。あとプレゼン内容が増えていくと時間内に収めるため色々と削らなければいけませんが、特に導入は自分では何度も何度も喋っているため、ここは不要なのでは?と削られがちで不十分なものになりがちです。
研究交換プレゼンをすると、そういった点が見えてきて、研究やプレゼンをよりよくすることができるのでとてもおすすめです。
なお、研究室内の研究テーマをお互いよく把握できるようになるというのも副次的な効果としてあるようにも思います。