絢爛なる映像美と世界観「落下の王国」
○です。
最近、日テレにおいて「落下の王国」という映画作品が放映されました。
この作品は僕は完全初見だったのですが、石岡瑛子が携わっている映画というイメージで認知だけはしていました。
「落下の王国」のDVDはプレミア価格が付いているようで、なかなか入手が難しいです。そのため、地上波で放送されるというのはものすごいことなんだって思って手を出してみました。
夜中に放送されたので、録画したものを今日鑑賞しました。
結論、この映画の映像美は、僕が今までみた映画の中で確実にトップクラスに入るくらいの美しさでした。本当にみれてよかったと思っています。
なので、鑑賞してすぐにこの映画のアウトプットを残そうとパソコンを開いています。
落下の王国という作品
落下の王国はターセム・シン監督が制作した、2006年上映の映画です。日本では2008年に公開されました。
撮影中の怪我で半身不随となったスタントマンのロイと、オレンジ畑で骨折した少女アレクサンドリアが病院で出会い、アレクサンドリアにおとぎ話をするお話です。
これだけ聞くととてもハートフルな内容に聞こえますが、ロイがお話を聞かせるのには理由があります。
ロイは半身不随かつ恋人を奪われていて、自暴自棄になっていました。そのため、自殺願望が芽生えています。
そこで、動けない自分の代わりにアレクサンドリアに自殺できる薬を持ってきてもらおうと考えました。そのためにお話を聞かせて、アレクサンドリアに薬を盗ませようとします。
しかしその架空のおとぎ話が、段々と2人に影響を及ぼしていく、、、という内容になっています。
おとぎ話
ロイがアレクサンドリアに話す架空のおとぎ話。
これは6人の勇者の「愛と復讐の物語」です。
同じ人物に因縁を持つ6人が集まり、復讐のために悪を倒しにいく、というなんとも王道なストーリーです。
しかしこの6人がとても個性的なのです。
双子の弟の復讐に燃える主人公の山賊、爆弾のプロフェッショナル故に孤独にさせられた爆弾の専門家、奴隷として労働を強いられていた戦士、美しい妻を奪われたインド人、自分の一番好きな蝶を標本として送りつけられて憤慨した生物学者、そして住んでいた島を焼き払われた霊者。
この6人が、悪である総督を倒すために奮闘します。
もちろん、このお話はおとぎ話。
面白いのが、ロイが作ったお話なので想像上のキャスティングが身の回りにいる人で構成されている点です。
ロイは山賊で、総督はロイの恋人を奪った俳優。こんな感じです。
そのほかの5人もその辺の人がキャストを担当して登場します。
物語の途中では、山賊の娘役でアレクサンドリアが登場したりと、だんだんなんでもありになってきます。
その自由な物語の変更のおかげで、2人に影響を与えたってところがあったりします。
魅力:撮影地の豪華絢爛さ
この作品の魅力の一つは、何と言っても撮影地の美しさです。
落下の王国は、なんと13の世界遺産と24ヶ国以上の国で撮影されています。
構想は26年、制作期間は6年と言われています。
これが、映像美と言われる所以です。
本当に綺麗です。
是非ともBlu-rayで大画面で見たい作品です。手に入れるのは困難ですが、、、
おとぎ話が繰り広げられるのは病院の一室。ですが、おとぎ話の世界はとてつもなく広大で、色々な土地を巡ります。
まるで鑑賞している僕自身も世界を旅している気分になります。それはなんとも壮大で、爽快感を得ることができます。
現実世界を組み合わせたら、ファンタジーのような世界になることが証明されたように思いました。
余談ですが、この作品を見ていて思い出したのはジョジョの第三部です。
世界を巡りながら、5人の男たちと1匹が冒険する。
この姿を僕は照らし合わせてしまいました。
魅力:石岡瑛子の衣装
そしてこの映画、衣装デザインを担当しているのはなんと日本人の方です。
冒頭においても書きましたが、担当しているのは石岡瑛子さんというデザイナーです。
この石岡瑛子が作る衣装は、もはや芸術の域に達していました。
まず、個性溢れる6人を纏う服。これが素晴らしい。
一人一人の個性がこれでもかと言わんばかりに爆発しています。
個人的に好きなのは生物学者の衣装です。白い服を彩る赤い孔雀の羽のような模様をもつ毛皮は、美しい限りです。
そして、敵の衣装も然り。
黒い兵隊がたくさん出てくるのですが、その姿は不気味で、でもかっこいい。
黒い兵隊が氷を舐めるシーンが個人的にお気に入りです。
ただ氷を舐めるシーンなのですが、あの衣装だからこそあんなにも魅力的なワンシーンになっているのだと思います。
ちなみに、石岡瑛子の展示「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、東京都現代美術館にて開催されています。
2020年11月14日から2021年2月14日までです。会期は変更されることもありますが、落下の王国を見た方や見てない方でも、石岡瑛子の芸術の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
芸術の王国
もうこの作品は言うなれば芸術です。
衣装、映像、世界観。全てが絢爛で美しい。
そこに入り混じるのが、不気味で恐ろしい成分。これがまたいいスパイスになっているんです。
映画の内容もとても素晴らしいものだったのですが、僕は思わず映像の方に目が奪われてしまいました。何回でも見ていられます。最高。
今年最後にとんでもないものを見てしまいました。
これで安心して年越しができそうです(?)