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障害者就業・生活支援センターについて
今回の投稿では自己紹介でも触れた、「障害者就業・生活支援センター」についてまとめます。私の仕事ですね。
制度の概要、具体的な支援の中身に触れてまとめていきます。
制度の概要
障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法を根拠として設置される事業です。
国が社会福祉法人やNPO法人に委託しておこなう事業で、各県に数か所設置されています。大抵の場合は障害保健福祉圏域をベースに複数の市町を跨いで活動しています。
通称はナカポツまたは就ポツ。就業と生活の間の“・(ぽつ)”を抑えていますね。今回はナカポツを使っていきます。
所管する厚労省によると設置の目的は「障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図る」とあります。
詳しくはこちら
そう、行政のつくる文章は上手いこと説明しているのだけれどなかなか難解というか、抽象的ですね。
対象者は一般企業で働こうと思っている障害者、もしくは既に働いている障害者。
さらに障害者を雇用しようと思っている企業、もしくは既に雇用している企業。
その2つが主です。
そういった対象者同士を繋ぎ、上手いこと雇用が続くように支援していくのがナカポツの支援内容になります。
最終的にはナカポツがいなくてもその二者で関係を続けていけることが理想です。
具体的な支援内容
簡単に事例をひとつ。
これまで数社で仕事をしてきたAさん。あるきっかけから精神科に通院し、発達障害であることがわかりました。同時に精神保健福祉手帳を取得。
再度就職しようと考え、病院の勧めでナカポツを紹介されました。
Aさんは①これまで仕事が続かなかった理由を整理して就職先を一緒に考えてほしい②就職した後も仕事の相談に乗ってほしいという2つの支援希望を持っていました。
就職する前と、就職した後の支援希望ですね。
就職する前の支援として
・これまでの経過(学歴・職歴)を聞き取る。特に仕事や生活上の困りごとや、退職の理由を整理し、苦手なことやその時どうしてほしかったか、どのような環境が必要だったかを本人と考える。
・通院同行をおこない、医師や心理士から診察や心理検査でみえた本人の特性を聞き取る。
・上記を踏まえ、本人の障害特性と必要な配慮事項を書面にする。
・本人の希望する勤務条件や、必要な環境を踏まえ、ハローワークに同行して求人票を検索。本人と内容を確認し、職場の見学や仕事の体験を企業に提案。
・企業での見学や体験に同行し、企業の担当者に本人のことや支援のことを伝える。
・企業に対して必要な調整(担当者を明確にしてもらう、最初は週20時間勤務から始め、徐々に延長していくなど)を依頼し了承いただく。
就職後の支援として
・就職後は3ヶ月を目途に月1回程度の職場訪問を実施。
・訪問で把握した困りごと(担当者不在のことが多くなり相談が困難)に対して解決策を提案(連絡ノートや担当者不在時の相談先の設定)。
・将来を見据えてグループホームや一人暮らしを検討したいと依頼。相談支援センターへ同行し、顔合わせに同席。
・勤務安定に伴い訪問頻度は6ヶ月に1回程度に変更。利用を始めたグループホームの職員と情報共有を適宜おこないながら本人の職場への定着を支援中。
大まかにはこのような感じでしょうか。
支援に入るパターンは様々で、就労移行からの依頼や家族からの依頼、企業からの依頼もあります。
相談に来た方が必ず就職するわけではなく、結果として福祉施設の利用になったり、訓練機関を設けたりすることもあります。
ナカポツが合わず支援が中断することもあります。
まとめ
障害者就業・生活支援センターは通称ナカポツ。
障害のある方やその方を雇用する企業を支援する役割を担っています。
就職する前から就職後までに一貫して関ることができます。
本人と一緒に得意なことや不得意なことを整理し、それにマッチングするような企業を探します。
就職後は企業からの相談にも乗り、起こっている困りごとに対して、本人・企業がどのように取り組むかを一緒に考えます。
ナカポツの職員は電話やメール・訪問・センターでの面談を通して上記の支援を実施します。
必要に応じてナカポツだけでなく、様々な機関と連携します。
福祉サービスはもちろん、ハローワーク、病院、学校、行政機関などなど。弁護士や不動産屋さんと連携することもありました。
記事を読む前後で、ナカポツに対するイメージは変わったでしょうか。
「ちょっとわかったかも」と思ってもらえたら幸いです。
そういった記事を今後も作成できるよう精進していきたいと思います。