勝利【400字小説】

もう８年も会っていない人から
結婚式招待状。
あの人にフラれたのに、
ずっと好きで。

そのこと、あの人は知っていて、
そんな意地悪な招待状を
送るなんて、最低。
それに出席の〇をして返信した、
わたしもわたし。

夫には高校の時の
ストリートバスケ仲間だって伝えて。
久しぶりにあの頃の
仲間に会えるのも楽しみ。

でも、きっと、
からかうンだろうな。
新郎のことが
好きだったンでしょう？って。

それは、まあ、そんなことに
なっても仕方ないや。
でも、今でも気持ちが
あるってことは、なんとしても
バレないように死守を。

死んだのはコービー・ブライアントで、
結婚する彼が好きだったバスケ選手。
部屋にポスターを飾るくらい
尊敬していたプレイヤーで、
でも、あんなスーパースターでも
死の淵からは甦れはしないヨネ。

諦めるべきなのかもしれない、
新郎の彼のことを。
心労が募るだけ。
≪必ず最後に愛は勝つ≫って
おじさんが歌っていたけど、嘘だ。

あの時のキスもまぼろし。

❏❏❏