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みにくいアヒルのこ、こんな裏話【400字小説】

あの子が白鳥だったことには驚いた。いじめて悪かったと感じている。早く新しい生活に慣れて、美しく生きてほしいと思うよ。だからといってオレは引け目をあの子に感じたりはしない。アヒルだって立派な鳥だ。かわいげのある生き物だ!って勝手に自負しちゃう。あの子をいじめたのは、事実に薄々気づいてたからかもね。あの子が去ってから季節は移り変わった。果たしてうまくやっているだろうか、そもそも、この厳しい世界を生き抜いているか。白鳥の群れの中で、またいじめられたりしてなければいいけれど。悪気はなかったんだ、でも、辛い思いをさせたこと反省している。もう離れ離れだから、そんな言伝もできないのだ。なんてこった!早く認めてあげれば良かった。みにくいアヒルの子はオレだった。人間も虫も花も空も土も、みんなみにくい。そうだとしたらあの子もそうだったから許してくれよ。みんな同等だったから仲間だったはず。仲良くしなくてごめん。

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